- Everlasting scar - 永遠の傷跡
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- Everlasting scar Ⅴ -
「やぁ、秀ちゃん良い夜ですなぁ。」
手を上げプールサイドに立つ彼女。
「……。家に帰ったんじゃなかったの??」
青筋が立つ秀一の額。
いつもにこやかな彼は本日驚くほど顔に怒りが出ていた。
「そういう秀ちゃんこそ。やっぱり気になったんだね。」
ふふふっと笑う彼女に眩暈がする。
妖怪の仕業ならば早めに手を打っておくのが得策だと思い学校に足を運んだ秀一。
「危ないから、帰って栄子。」
「なんで危ないの??」
「それは-…」
言いかける秀一の言葉は目の前の光景に止まる。
ぱさり-…
白い肌が秀一の前で露になる。
惜しげもなく晒す肌にしなやかな女性特有の曲線。
「水着着てきちゃった!!!へへっ。」
水着を下に着ていようとも、体のラインははっきりと分かる。
月が映し出す白い肌。
水が反射すればゆらゆらと肌に映るそれはとても幻想的だ。
ごくりと唾を飲み込めば、らしくなく顔を逸らす。
熱を持つ体。
それは彼女ひとつの行動でこうも左右される。
「栄子、夜のプールは危ないから-…」
やっと出た声は秀一自身が驚くほど震えていた。
(…本当にらしくない。)
「無理よ。」
軽く体操をすれば飛び込む栄子に、秀一はその場に駆け寄り、彼女が泳ぐ先を見つめる。
「気持ちいい…久々だぁ。夜って、素敵だね。」
水の上で仰向けになり泳ぐ栄子。
雲の切れ間から月が覗けば水は反射し金と銀がゆらゆら揺れる。
「………。」
「秀ちゃんも水着持ってくればよかったね。」
笑う彼女に、大きなため息を付く秀一。
よほど泳ぎたかったのだろう。
彼女は昔から泳ぎだけは得意だった。
社会人になりその機会も減った為、水が恋しかったに違いない。
自分の目がある今は許すか。
それに妖気の反応も見当らない。
彼はやれやれと呆れるも笑みを浮かべその場に腰を降ろし彼女を見据える。
彼女がプールの端まで行けば次はそのままクロールをして戻って来る-…
「……。」
翡翠が揺れる。
露になる、彼女の肩から背中に駆けての傷。
彼の記憶は遡る-…
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