-本編・妖狐編ⅡとⅢの間のお話-
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「桜、だ…。」
見上げたそれに感嘆のため息が漏れる。
鮮やかに咲き乱れる桜の木。
周りの団員達は『宴だ!!』と盛り上がりだす。
蔵馬の部屋までお酒を取りに行った黒鵺が蔵馬の部屋の窓から見つけたそれ。
光る森-…
それは森の中の一部の木が光っていた。
桃色に光る花を咲かせた木。
魔界で桜が咲くのは稀らしい。
しかも、人間界の物とは違い魔界の桜の花は光るのだ。
「やっほい!!また宴だぜぇ!!」
「さすが黒鵺さん!!頭の右腕だけあって良いものみつけますねぇ!!」
昨夜宴会をしたばかりの彼らはどうしてこうも元気なのか。
また女性を呼ぶのだろうか…
不安に思い思わず隣にいる狐の顔を見上げる。
「どうした?…眠くなってきたのか?」
「……。まだ時間早いし…。」
出た子ども扱い。
こちらは別の事を気にしているというのに…。
あんなキスをしておいて、こういった時は子ども扱いとはこの狐はいい度胸である。
思わず膨らむ頬。それを見て面白そうに笑う狐。
「安心しろ、おまえの心配するような事はない。」
何をとは言わないものの、彼は分かっているのか栄子の頭に手を置き顔を覗き込みそう言う。
「意地悪…」
「今更だな。」
くすくすと楽しそうに笑う彼に、唇を尖らせる。
「で、どうだ?それの味は?」
蔵馬の視線が栄子の手に持つ赤いカクテルに行く。
それは先ほど黒鴉が自分の為に取ってきてくれたお酒。
蔵馬特性の果実酒とでもいった事か。
「おいしいよ、ジュースみたい。でも蔵馬が飲んで良いといってくれるなんて意外だったわ。」
そう、彼ならまずまだ未成年の栄子の飲酒を許すとは思えなかった。
そう思えば黒鵺や雲海の方が幾分も常識的に普通だ。
「そうか?」
「うん、ありがとう!初めて飲んでみたけど普通においしい。これなら一杯飲めそうよ。」
満面の笑みを向ける彼女と、それに笑みを返す狐。
「あれって…ジュースでしょ。黒鵺さん。」
「聞こえんぞ、言うな。」
少し離れた所で呟く二人。
(蔵馬がこんな野郎だらけの場であいつに酒を飲ますわけがない…)
洗脳とはすごいんだな…と黒鵺は頭を掻いた。