-本編・妖狐編ⅡとⅢの間のお話-
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その日の夕食は、前日の宴会の残りだった。
といっても普段よりは豪華で、主にお酒のあてではあったが、それでも栄子は妖精のおかげだと思い込んでいた。
「やっぱり妖精はすごいんだね~!!」
広間では用意された夕食を嬉しそうに頬張る栄子の姿。
「…おまえは食い物食ってる時が一番幸せそうだな。」
さっきまで萎れていたと思えないほどの切り替わりの速さに呆れる黒鵺だったが、それでもしょげているよりはマシだな…と苦笑しながら酒を仰ぐ。
「…私も飲みたい、せっかくお酒のおつまみ沢山あるんだもの。」
「子供はまだ早ぇよ。」
「…私の時代はあるんだよ。子供が飲んでよいお酒。子供のビールとか、ノンアルコールとか。」
「ビール?ノンアルコール?なんだそりゃ。魔界にはそんなものねぇよ。子供は食ったらしょんべんしてさっさと寝るこった。」
ふふんっと勝ち誇ったように笑い再びおいしそうに飲む黒鵺を、唸りながら睨む栄子。
「うう…雲海~~!!」
的を変えようと黒鵺の隣で酒を飲む雲海に眉を寄せ目で訴えてみるが…
「お嬢はだめです。この髑髏酒は蝮とか蛙とか蛇とかあらゆる物をすり潰して作ってある強いお酒なんです!そんなものお嬢に飲ませるなんて…」
「それはいらない、それは絶対いらないから。…甘くておいしくてちょっと気持ちよくなる位のお酒が欲しい…。」
その時だった。
「なら俺のをやろうか。栄子。」
今朝聞いた後からずっと聞いていなかった声が頭上から振る。
「蔵馬…いいの?」
頭を逸らし彼を見上げる。
げっと顔を歪める黒鵺の顔が視界に入るのはこの際気にしない。
「あぁ。俺の部屋に甘くておまえ好みのがある。…黒鵺、取って来い。」
「え…俺?」
「あぁ、おまえだ。」
なんで…と声を上げようとする黒鵺の顔がだんだんと青くなっていく。
「なぜかわからんか。」
「…いや、行きます。」
立ち上がりふらふらとその場を後にする。
この二人の間に何があったのか。
栄子は首を傾げた。