-本編・妖狐編ⅡとⅢの間のお話-
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「黒鵺って、最低だね!!男のくずだよね!!」
栄子は自室のベットで寝ている半裸の黒鵺を見下ろしながら冷たく言い放す。
「あぁ?…なんだって?」
気だるそうに起き上がり大きくあくびをしながら伸びをする彼。
扉の側で不機嫌そうに眉を寄せ立っている栄子に、黒鵺は首を傾げた。
「さっきここから、女の人が二、三人出て行った…。」
あぁ、そういうことか、と納得をした彼は大人だからな…と笑う。
それに「最低!!」と目を吊り上げる栄子。
「仕方ねぇだろ…俺だって、あんなに相手にすんの大変だったんだぜ?あいつら女連れてきすぎなんだよ…あぁ、腰痛ぇ…。」
「信じらんない!!!そういうのは好きな人としかしちゃだめなんだよ!!」
「……。」
なぜこんなに自分は怒られているのだろうか。自分はそんなに悪い事をしてしまったのだろうか…。
彼女達はそれが仕事だ。
栄子の言う事も分からなくはないが、それとこれとはまた話が別だ。
「…蔵馬も最低だわ-…」
ポツリと呟いた言葉になるほど…と納得する黒鵺。
思わず笑みがこぼれる。
それを栄子は怪訝そうに睨む。
「くく…そうかそうか、おまえは蔵馬にやきもちやいてるんだな。なんだ、女の香りでもしたか?」
「鼻が曲がるかと思ったわ!!」
香りがしただけだと言えど、この黒鵺の姿を見るとどうもそれだけではないのだろうと察しがつく。
「…安心しろよ。あいつの分も俺が引き受けたんだぜ?」
「え…」
「誰が好んで三人も相手にするか。蔵馬の奴、よっぽどお前の側に居たかったんだな。まぁ、女達があいつを離そうとしなかったから香りがついたんだろ。」
目を細め、孤を描きながら気だるそうに話す彼。
「……。」
「蔵馬は言わなかったのか?」
「まだ寝てるもの…熟睡してたからそう起きないわ。」
「そんなわけない、あいつは熟睡ができないんだぜ?」
「?でも…寝てたわ。今日なんかつねっても起きなかったもの。」
「………へぇ、そりゃ…すげぇ。」
口笛を吹き、珍しいものを見る様な瞳でまじまじと栄子を見る。
「??…何?」
「おまえ、妖怪だったらよかったのにな。」
ぽそりと呟く黒鵺の一言。
「なによ、それ…。」
「…ついてねぇやつらだぜ。」
まぁ、とにかくそういうわけだ…
と黒鵺はさっさと蔵馬の所へ戻れと手で払う仕草をする。
黒鵺の最後の言葉が胸に引っ掛かるものの、もう一度寝なおそうと背を向ける彼にそれ以上は言葉がでないでいた。