薔薇とお狐様3
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『夜祖会』
各盗賊団が集結し個々の襲撃場所を把握する
時に情報交換も行われる
年に数回行われ顔合わせも必要な会合
「去年は豊作だったが今年は微妙だった」
「今年はあの一族が…」
「あのガラ族の宝は-…」
あぁだ、こうだ。
目の前で酒を仰ぐ強豪な面々。
各盗賊団の幹部達はどれも…
怖そうだ。
そして思っていた以上の大所帯。
何百人いるんだろう。
これ全てが頭、幹部となると魔界の盗賊団全部が集結しているのではないだろうかとも思ってしまう栄子。
「蔵馬さん…私、ここに居る意味あるんでしょうか?」
隣で胡坐を掻き酒を飲む蔵馬にこそりと囁く。
「気にするな。今日の分はもうすぐ終わる。」
(…終わるって、言われても。)
夜祖会は約一週間、らしい。場合によっては延びたりもするらしいがー…
騒がしい周り。
酷い酒臭。
お酒飲んで宴会してるようにしか見えない
「おまえは楽にしておけ。周りにも無理に酌する必要もない、ここにいろ。」
「……はい。」
それにしてもだ。
蔵馬はなんだかんだ言っても結局優しいのだと思う
一時は襲われ?もしたし、昨夜も正直危なかった気もする。
まだまだ警戒は取れないものの、それでも本気で嫌がる事はしない。
ん?…いや。
現世に戻す輪を壊された。
-…魔女に会えばどうにかなると思い、いつの間にか気楽に考えていたが。
この際、今…
この機会を使わせてもらおうか。
「蔵馬さん蔵馬さん。」
小さく手招きをし、こそっと狐さんの耳元に口を寄せる。
「なんだ?」
「……あの私せっかくだし散歩して来ていいですか?…朧さん貸してください。すぐ、返しますから。」
「……。俺が乗らないと動かないと、そう言わなかったか?」
「どうしても乗らないと動かないんですか?命令とかでもいけるんじゃぁ…。」
「ほう…俺が一緒だと何か都合が悪いのか?」
金の瞳が細くなり意地悪く口元が笑みを浮かべる。
「そ、それは…」
「そんなに、魔女に会いに行きたいのか。困った娘だな。」
図星を指摘されどきりとするのと同時に、間近でくつりと妖艶に笑う狐さんの色香に一瞬くらりとする。
それにしても、やはりというかさすがというべきか…
「…知ってたんですね。」
「知らないと思う方が笑えるぞ。」
しれっと言う彼に、思わず顔が歪む。
やはりどこでも自分の思考は彼には筒抜けらしい。
「まぁ、貸してやらんこともないが…」
「え!?」
「今夜、俺に大人しく抱かれるなら考えてやる。どうだ?」
「…だ、だく!?てか、蔵馬さんそんなのばっか!!」
「それで自由にしてやるぞ?」
仰天し真っ赤になる私に、さらりと蔵馬の白く長い指が頬を優しく撫でる。
「返事は?」
「…い、いえ。…あの…そ、そんなに私と、その…したいん、ですか?」
「あぁ。したいな。」
金の瞳に熱が籠れば、聞いてしまった自身の口に後悔する。
「あ、…えっと…」
しかも場所が場所だ。
騒がしい場所だからこそ私たちの話は周りに聞かれていないものの…それでも、恥かしい。
逃げたい。
「ちょ、ちょっとトイレ行ってきます!!」
これ以上の動揺を気付かれたくなくて、適当な理由を付けばっと立ち上がる。
そして「おい…」と手を伸ばす蔵馬に気付かないふりをして走り去るのだった。
.