薔薇とお狐様2
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魔界の繁華街-…
「見てみろよ、いい女だなぁ…」
「美人だなぁ…でもありゃぁぜって~男居るぜ?」
「ちがいねぇ!!!」
男達の声など気にも留めず街を歩く女。
ファーの付いた真っ黒なコートに身を包み緩やかなパーマがあたった髪の長い女は軽やかに歩く。
「ねぇ、お姉さんどこいくの?良かったら俺の飛竜で連れてってあげようか?」
それでも声をかける男は必ずいる。
女はそれに立ち止まればその男を見上げ言った。
「ありがとう。なら飛竜はもらっていくわ。」
と満面の笑みを浮かべて。
「黒鵺さん!!!大変です!!!宴会場が…宴会場が!!!!」
朝方、未だ眠る黒鵺の自室に駆け込んできた琥珀。
真っ青な顔に荒い息。
それに気だる気にむくりと起きる黒鵺だったが、「あぁ…」と何やら思い出したのか、再び布団に潜る。
「何があぁですか!!ちょっと大変なんです!!黒鵺さん、起きて!!おきてください!!!」
布団の上から揺さぶるも黒鵺は「ほっとけ」とだけ呟く。
「何言ってるんですか!!宴会場が…」
「……。」
「宴会場が血の海なんですよ!!!!??」
おきてください!!!と必死に言う琥珀。
『少々面倒になってきたな…。』
あの後呟いた蔵馬の言葉。
それに首を傾げる黒鵺。
そんな黒鵺を見て蔵馬は冷たくも妖艶に笑みを浮かべる。
『これを傷物にしてくれた奴らだ。あぶり出しなど生ぬるい。』
『…!?…邪族がこいつを?てか、蔵馬おまえ誰がわかってんのか!?』
目を見開く黒鵺に蔵馬は全部とは言えんがな…と不敵に冷たく笑ったのだった。
そして…
今に至る
「頭あの人達、殺す気です!!!あれは拷問の域を超えています!!」
真っ青になり慌てる琥珀。
「馬鹿言え。殺す手前なんだからしかたねぇよ。拷問っていっても結局は最終的にやられるぜ?」
「え、えぇ!?」
「とりあえず、身を隠している奴の居場所を吐いてもらう必要があんだろ?その為に建前で拷問してるだけで、あれは確実に殺す気満々だ。」
ご愁傷様…と呆れた様に呟く。
裏切りは「死」
というのは表向きの掟だ。
裏切ろうが旨く事を運べば蔵馬とてわざと見逃す事もある。
盗賊は自由ゆえに強制ではない。
やめたければやめればいい。
去るものは女同様追わない蔵馬。
だが、彼の機嫌を損ねればそう簡単にはいかない。
もちろん裏切りの具合によるが。
今回は言うなれば逆鱗に触れただけの事。
蛇族がどうというわけではない。
栄子に手を出したからいけないのだ。
そう、ただそれだけ。
「逃げだす時間も与えてやったってのにな、馬鹿なやつらだぜ。」
「でも、どうして頭を誘惑する必要があったんでしょうね。」
「そんなもの、油断させる為に決まってんだろ?」
「うーん…それだけなんでしょうかぁ。」
何か引っ掛かる琥珀
何かに憑かれていた栄子の様子はどこか異質だったが、何か馴染みのある感覚を感じていた。
そして自分の抗議の声をまもとに聞いてくれない黒鵺に、もうなるようになればいいとあきらめる琥珀だったのだ。
(僕だけで止めるのは無理です。)
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