薔薇とお狐様2
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それは突然だったんだー…
蔵馬を呼びに行くと出て行った栄子。
俺と琥珀はただ二人が戻ってくるのを待っていた。
『頭の部屋の行き来が自由なの栄子さん位ですよね~てか、甘いですよね。どうします?二人でスキップしてきたら。』
『スキップだぁ?』
馬鹿言え…と思うも、さぞにこやかに来るだろうとは思っていた。
なんせあの後だ。
明らかに男慣れしてない女を慰め?警戒され避けられていた蔵馬。
さぞ嬉しいに違いない。
しかし、そう思えば思うほどあんなにも警戒していた女がなぜすんなり蔵馬の部屋へ行ったのか…
琥珀も様子がおかしいと言っていたが
俺ももっと早く気づくべきだったんだ
蔵馬が血相をかえて
腕から血を流す栄子を抱え走って来た時
俺はただ酷く後悔したー…
だが、蔵馬はきっと
俺の比ではないー…
彼女の右腕から流れる鮮血
彼女の自室兼医務室で雲海がそれを処置すれば血は止まるものの未だ容体は悪い。
ナイフに仕込まれた毒は獲物をじわじわ殺す猛毒だった。
荒い呼吸に額には汗をかき、顔はただ真っ青だ。
苦しげに顔を歪め意識は朦朧としているのか、ただ「しゅうちゃん…」ともう一人の名だけを何度も呟く。
しかし、その名を呼ばれた人物は今ここには居なかった。
雲海が鎮痛剤を打つもおさまる様子はない。
雲海と共に心配気に彼女を見下ろす琥珀。
黒鵺は部屋の外の壁に凭れただ俯く。
何があったのだと蔵馬に問いた黒鵺だったが、蔵馬自身も酷く動揺していた。
ただ、彼女の様子から解毒剤を用意してくるとだけ言い残し自室に戻った蔵馬。
なんとなくの予想はつくものの不可解だ。
蔵馬が反撃したのだとしたらあの蔵馬の表情はおかしい。
そして、彼女が自分で自分の腕を刺したのだとしても…
蔵馬ならその前に止められるはずだ。
余程の事がない限りー…
すぐさま戻ってきた蔵馬は調合した解毒剤を彼女に飲ませる。
そうすれば次第に呼吸は落ち着き、顔色も戻ってくる。
それにその場に崩れる様に座り込む琥珀と雲海。
「よかったっすぅっ~」
「心臓止まるかと思いました。」
心底ほっとする彼ら。
その側では未だ立ち竦み彼女の顔色をこれでもかと見る蔵馬。
それに雲海と琥珀は顔を見合わせ互いに頷けばその場から出て行くのだった。
そして…
残された狐の背後から姿を現すのは黒鵺だ。
「何があった、蔵馬。」
そしてもう一度同じ質問を投げかける。
狐は彼女の顔にかかる髪を指で優しく除ける。
真っ直ぐに彼女を見つめる金は微かに揺れる。
「…体が動かなかった…」
「……へぇ。それは珍しい。」
「いや、こいつの周り全ての時間が一瞬止まったみたいに…無音で呼吸さえ出来なかった。」
「……。」
「俺は見ているだけだった。」
確かにあの時目を奪われた狐。
しかし、確実に自分ならば止めれたのだ。と狐は思っていた。
そう普通ならば-…
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