薔薇とお狐様2
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「俺様特製雪キノコ飯、てめぇら一杯食えよ!!」
広い座敷の間。
そこに置かれた大きな釜。
その隣に両手を腰に当て立ち満面の笑みを浮かべる黒鵺の一言に「おぉ~」と叫ぶ団員達。
夕食会場でもある宴会場は相変わらず賑わっていた。
大きな釜から香るキノコの香りが団員の食欲を煽る。
「栄子さん、飲まないならもうキノコ飯頂きますか?黒鵺さん、キノコ飯だけは絶品で頭も唸る程おいしいんですよ?」
琥珀は隣に静かに座る栄子の様子を伺う。
黒鵺の料理など珍しく、しかも雪キノコを楽しみにしていた彼女だ。
きっと目を蘭々と輝かせ、キノコ飯に飛びつくであろう、と思っていた琥珀だったがその反応は酷く違っていた。
「そうなんだ。楽しみですね。」
ふふっと口元に手をあてどこか品良く微笑む彼女に、琥珀はあれ?と首を傾げる。
確かにキノコ狩りから帰ってきてからどこか様子がいつもと違うとは思っていた。
だが、それは雪の寒い中ただ疲れたのだろうと琥珀はそう思っていたのだ。
「そういえば、琥珀君。蔵馬さんはまだ部屋なのかしら?」
「え、えぇ…頭は寒いとなかなか出てこないんです。多分、もう少ししたら来るとは思いますが…」
「そう。」
「……。」
眉を寄せ、怪訝そうに横目で栄子を見る琥珀。
その時だった。
「こらぁ、栄子!!てめぇ、早く食えよっ、俺の特製キノコ飯!!せっかく俺が久々に腕を振るってやったんだぜ?」
黒鵺が琥珀と栄子の前に来れば「なにぼさっとしてんだ、なくなっちまうぞ!」とビシッと真ん中に置かれた団員達が集まる大釜を指差す。
「そういいながら黒鵺さん、ちゃんと残してるんでしょ?頭の分とか、おかわりの分とか。…栄子さん、頭が初めてキノコ飯を褒めた後、黒鵺さん喜んじゃってその後一週間キノコ飯だったんですよ?信じられます?巻き込まれた方は散々ですけどね。かわいいでしょ、黒鵺さんって。」
と笑う琥珀に、「あれは蔵馬がどうしてもっていうからだな!」と真っ赤になりながら弁解をする黒鵺。
それにクスクス隣で笑う栄子にどこかホッとする琥珀だったがー…
「雪キノコ飯でそうも喜ぶとは蔵馬さんはまだまだ子どもなんですね。黒鵺さんもまだまだ可愛いことで。」
と、妖艶に瞳を細め笑みを浮かべる。
「……。」
首を捻る琥珀。
「おまえ…どうした?なんかいつもと様子が違うぜ?」
「あら、そうですか?」
くすりと彼女の口角がゆるりと上がり艶やかな瞳が真っ直ぐに黒鵺を見据える。
「あ、あぁ。なんだ…いつも皆無な色気が今爆発的に放散してるぜ、おまえ。」
頬を描きながら微かに頬を赤らめる黒鵺の脇腹に肘をどかりといれる琥珀。
何を翻弄されているのか…
行動とは正反対の黒鵺を見上げる琥珀の笑みがそう言えば、黒鵺は「冗談だって…」と青くなりつつ口元を引きつらせる。
琥珀の殺気は伊達ではない。
「私…蔵馬さんを呼んできます。」
しかし、そんなやり取りの中、自分は関係無しと立ち上がる栄子。
「え、栄子さん!?」
「おい、ここで待っー…」
言いかける男二人の声など聞く耳持たずスタスタと歩いていく栄子。
それをただ某然と見る琥珀と黒鵺は意味がわからず顔を見合わせるのだった。
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