薔薇とお狐様2
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魔界の森奥深くに佇む洋館を思わせる大きな屋敷。
暖かな日差しと緩やかな風が吹くその一体。
30歳前後、真っ黒なサテンのドレスに身を包む女は洋館の窓から顔を出しただ遠くを見つめる。
緩やかに弧を描く口元に細くなる艶やかな瞳。
この屋敷一体を包む空間から先は真っ白な雪が吹雪く銀世界だ。
「みぃつけた。」
女はそう呟き微笑んだ。
真っ白な雪が降り積もる銀世界。
そこにあるのは、雪の中から何やら探す二つの影。
「お嬢~!!こっちにもありやしたぁ!!」
雪の中、ザクザクと歩きながら手にそれを握りもう一人の人物に見せる様にあげれば、それに振り返る人物、栄子は感嘆の声をあげる。
「わっ、雲海さん、見つけるの早いですね~、さっすが!!私なんてまだ一つですよ、雪キノコ。」
頬を真赤に染め、はふはふと息を白くし手袋をした手をこすり合わせる栄子。
防寒をしていても真冬の寒さは酷く身に滲みるのだ。
「お嬢は寒いの苦手なんですね。あっしなんか雪が積もれば嬉しくて嬉しくて!!寒さも吹き飛ぶっす!あっ、ここにもありやした!!雪キノコ!」
雲海の前世は犬かもしれない。
元気な彼に思わず笑みが漏れる栄子。
「私も雪はすきなんですけどね。でも寒いのは苦手です。」
「頭もかなりの寒がりでしたよ。雪の日なんて部屋から出てこねぇ日もありやすし。」
今日もその日かもしんねぇっす!と笑う。
「へ、へぇ…狐って寒さに強いイメージあるのに、意外。」
蔵馬の名が出れば思わず構えてしまうのは仕方がない。
数日経った今でも、彼のあの慰め方は彼女の脳裏に未だに住み着く。
「あっ!!あっちにも雪キノコ発見!!」
手をかざし遠くを見ていた彼は、とって来るっす!!と駆け出す。
そして雪の上をダッシュして行く彼を見ながら、妖怪の視力ってすごいと思いながらも再び笑みが零れる。
遠くで手を降る雲海。
振り返す彼女。
雲海はさらにキノコを見つけたのかそれ目掛けて再び走る。
(ほんとに犬だ…)
思わず笑みが溢れれば、自分も負けていられないと雲海と逆の方へと歩を進める。
(キノコキノコ~♫)
しゃがめば、積もる雪を掻き出し探す。
真っ白な雪。
地面に積もる雪達。
掻き分け探す彼女にゆるりと背後から近づく影。
彼女は落ちてくる影に振り返り顔を見上げた。
「お嬢~、そろそろ戻りましょうか!」
俯いたまま立つ彼女に駆け寄る雲海。
すでに日は傾き、夕焼けが二人を差す。
「見てくだせぇ、こんなに大量っすよ?って、あれ、お嬢、あれから一本も取れなかったんすか?」
「うん。ざんねんだけど。」
それに薄く微笑む彼女。
「まぁ、あっしが一杯取ったんで問題ないっす!今日は雪キノコご飯っすね!!楽しみっす!」
にこやかに笑う雲海に彼女は薄く瞳を細め「ほんとうにたのしみですね。」と呟くのだった。
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