学園祭編
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『あぁ、神様…どうか私の罪をお許しください、私はこんなにも彼に会いたくて、こんなにも彼に触れたい。ロミオに会った瞬間分かってしまったのです、私は彼の捕らわれた…』
「……。」
目の前で上に向かって手を伸ばす同じクラスの女子生徒。
それをただじっと見つめる栄子。
『あなたの髪も、あなたの肌も、あなたのその瞳も愛しい。全てが私を虜にするのです。』
ロミオ役の男子生徒に視線を戻せば、その頬にそっと触れる。
(このジュリエットは積極的だなぁ…。)
『ジュリエット…私こそあなたに捕らわれた。私はあなたが生まれる前からずっとあなたを待っていた気さえするのです。これは運命-…』
(でも、一目ぼれって…うそ臭いよね。)
『私たちは決して結ばれてはいけない。わかっているのに-…』
(………。)
『愛してしまった事を責める事はそれこそが罪-…』
-…本当に好きな童話なのに-…
なぜか酷く気になるのは
この話の結末が納得いかないからだろうか-…
「ラブストーリーで最後に死んじゃうのって悲しいよねぇ。私、ドラマでも悲恋って聞くとなんか見る気うせちゃうんだ。」
休憩時間にクラスメイトの友人は窓辺に凭れて気だるそうに机に突っ伏す栄子に話す。
「うーん…わかるかも。」
確かに見終わった後悲しい余韻が残る。
それは栄子自身もあまり好ましい感覚ではなかった。
「やっぱりラブストーリーはハッピーエンドじゃなくちゃ、ね?」
「そうだね。見ててすっきりするもんね。」
だから…結末が気になるんだろうか。
「あ、見てみて!!!」
いきなり友人の声のトーンが上がる。
窓の外に視線を移した友人に栄子も何事だと一緒に窓から外を覗けば、グランドに見慣れた姿が目に入る。
「南野せんぱーい!!」
きゃぁ!!と隣で飛び跳ねる友人に、やれやれと息を付く栄子。
どこまでも人気な幼なじみ。
次の授業が体育なのか、体操着を着た彼はその声に気付けば振り返り、栄子の姿が見えれば微笑み軽く手を振る。
「きゃ!!振ったわ、振った!!やっぱ、栄子といると普段と違うのね、南野先輩。きゃぁ!!」
頬を赤らめ秀一に手を振る友人に、そう?と首を傾げたくなる。
誰にでも優しいのが彼だ。
自分は幼なじみだから他より気を許しているだけに過ぎない。
「誰にでも同じだよ、秀ちゃんは。」
「そんなこと無いわよ。私も南野先輩と幼なじみだったらなぁ…あんたすんごくおいしいポジションにいるのよ?分かってる?…ダンスコンペ、一体誰と踊るのかしら。」
遠ざかって行く彼の後姿を見つめながら友人は頬に手を当てほう…と息をつく。
「……。」
「あーあ、あんな素敵な人とロミジュリの様な恋、したいわ。燃えるような恋!!きゃっ!!やけどしちゃう!!」
一人妄想し悶える友人を、どこか冷静に見てしまう栄子。
「ね!!そう思わない!!??」
「…最後死んじゃうけどね。」
悲恋は嫌いじゃなかったか?と内心突っ込む栄子だった。
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