渇望
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だいだいこういうオチだと思ってたんだ。
秀一はベッドで寝かせた彼女をうちわで扇ぎながら不機嫌だった。
最初は少し腹が立った為、少し苛めてやろうと思った位だったのだが、普段よりも色っぽいあの姿と彼女のあの拒み方は男心をさらに煽るようなものだった。
湯船の中のあの行為はどうやら彼女がのぼせるのを手伝ったような物だった。
結局俺と彼女はいつまでたっても先には進めない。
ずっと一緒にいた幼なじみだからこそわかる事。
離れられたくないからこそ、どこまで許していいか分からない彼女の心情も理解出来ている。
それに甘えている自分も。
嫌いだと突き放せばいいのに、それをしない。
ならば強引に関係を変える事も多々考える。
気持ちには答えてくれないくせに、側にいてほしいと言われたあの日。
それでもいいと思った自分が愚かだが心底嬉しがっていた。
いつか離れなければいけないけれど…
俺は君がほしくてたまらない。
「…秀、ちゃん?」
うっすらと瞳を開けうつろな瞳を自分に向ける彼女。
「気がついた??」
「私……」
「のぼせたんだよ。お風呂場で。」
「あっ…」
思い出したのか一気に赤くなる。
そして、自分の体を見て服を着ていることにほっと息をつくが、それもつかの間、徐々に顔は青くなっていく。
「私…タオルの下…」
目を細め口角をあげる秀一。
「…み、見た?」
真っ赤になりながら見上げる潤んだ瞳にまたもや理性が壊れそうになる。
「見てないと思うの?」
「い、いえ。」
かぁ…と真っ赤になる彼女に勘弁してくれとばかりに、秀一は目を細めた。
「ねぇ、栄子。」
「…な、何?」
今にも泣き出しそうな震える声。
やっと落ち着いたと思ったのに…。
参る…。
「栄子、キスして。」
「…へっ…な、なんで??」
「それで全部許してあげるから。」
はいっとばかりに意地悪そうに舌を出す秀一に、みるみるうちに青くなっていく栄子。
「な、なにが?秀ちゃん、頭おかしんじゃないの?」
しかも、なんで舌だしてんの!?
身の危険を感じたのかベッドの奥まで後ずさる。
「狐の俺ならいいのに、なんで俺だとだめなの?」
「いやいや、って…怒るのは私の方だし!!なんで調子に乗ってあんな事…」
お風呂での出来事を改めて思い出し、ここぞとばかりに怒り出そうとする彼女だったが…
「いやなら、俺から離れればいいだろ?しないのは君だ。」
にっこりと不適に笑う彼。
「我慢してるんだ。分かれよ、いい加減。」
伸ばされた頬に触れる彼の手。
親指でなぞる自分の唇…
早くほしいとばかりにそれを見る彼の妖しく熱を帯びた瞳。
側にいる限り私は狐に追い詰められる。
魔界の奥の
永遠に人目に触れる事のない場所に
逃げられないように足を折って、手を縛って
閉じ込めておけたら
俺はどんなに安心するだろうか
君が俺を受け入れてくれるなら
一生狐のままでもいいなんて…
そんな綺麗な事は思えない
-end-