君と重ねた恋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おまたせ。」
彼独特の甘い優しい声色が教室に響く。
栄子は入り口のドアに目を向ける。
「待たせてごめん。帰ろうか。」
にっこりと笑う秀一。
さっきまで女の子を振っていたと思えない位のさわやかさだ。
教室には栄子一人。
本来、彼女の席は廊下側にあるのにも関わらず窓際の席に座っている事に、秀一は苦笑した。
「また覗き見してたんだ?」
さき程から返事のない栄子に言葉を続ける。
「そうだよ、悪い?」
(…こんなに優しそうなのに、きっぱり振るんだもん。)
じっと探る様な視線を彼に向ける。
「見ていて気持ちの良いものじゃないだろう?」
くすっと困った様に微笑む秀一。
その言葉に栄子は首を振ると、立ち上がり彼の前までいく。
「気持ちいいよ、とっても。大好きな自慢の幼なじみはよくもてる!」
そう下から覗き込むように見てにっこりと微笑む。
「……。」
「あれ、無反応?」
「人が傷ついている様を見て気持ちがいいなんて、栄子性格悪いんだね?」
そう言いながら少し不機嫌そうに眉を寄せる。
(珍しい…)
顔に感情の出ない彼にしては珍しい表情。
「違うよ。秀ちゃんを誇りに思うだけだよ。そんなにもてる人なんてそういないんだから。それだけ魅力的ってことだよ!?」
「…もてても好きな子じゃなきゃ意味ないだろ?」
「ふふ、贅沢。それこそモテ男のセリフだよ。」
くすくすと笑う栄子に秀一はもう帰るよ。と呆れた口調で言った。
2つ年上の彼は今年中学三年生の受験生。
私は晴れて小学校から大人の階段登りだした中学一年生。
初めて中学校に来た時には幼なじみの人気っぷりに驚いたものだった。
ファンクラブまであるは、日替わりで告白されているは。
幼なじみでお隣さんだからということが周りに知れるまでは、仲が良いというだけで上級生の女子生徒に、いじめられそうになっていた。
今となっては妹の様な存在だとわかってもらえたようだが。
それも彼、幼なじみの力でもありますが…。
こうやって一緒に帰れる事すら、ファンクラブの子達にとっては奇跡らしい。
「…お金稼げるかも。」
「栄子いらない事考えてるでしょ。」
私の思考なんて彼にはまるわかりらしい。