第14話 人間と妖怪
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何度も鳴る玄関のチャイム。
朝からうるさいねぇ…と愚痴る幻海だったが、彼女の頬はなぜか緩んでいた。
玄関のドアを開けると、いきなり抱きついてくる、彼女にとってはかわいい孫。
「おばぁちゃんー!!」
一瞬驚いた幻海だったが、相変わらず甘えただねぇ…と苦笑しながらも引き剥がすことはせず優しく頭を撫でる。
「おばぁちゃん!ひさびさ!!元気してた??」
「あぁ、元気だよ。おまえも元気そうでなによりじゃないか。ただ何度もチャイムを鳴らすのはやめとくれ、子供じゃないんだから…まぁ、入りな。」
呆れながらも嬉しそうに微笑む幻海に栄子の頬もさらに緩む。
昨日いきなり「明日会いにいくから」と幻海に連絡をいれた栄子。
始めはなにかあったのかと心配した幻海だったが元気そうな彼女の姿を見て安心した。
不安要素はたくさんありそうではあったが。
幻海はちらりと彼女の手に目をやる。
幻海に案内された部屋は、殺風景な部屋ではあったが、畳の良い香りに木彫りの家具が置かれ、家自体が山の中で自然に囲まれているためか、澄んだ草木の良い香りがしている。そんな部屋であった。
だいたいここへ来ると体が元気になるのは自然の治癒の力かもしれない。
『疲れたりだるい時はきな。ここは空気がすんでいるからね。』
以前そう言っていた幻海の言葉を栄子は思い出す。
「あっ…幽助、きてたんだぁ。」
ゲーム機器が散乱しているのを見て栄子はいついつ?と幻海を見やる。
「…まだ、そこらへんにいるよ。朝から体力馬鹿共と遊んでるみたいでねぇ…。」
ずずっとお茶をすする彼女に栄子はへぇ…と周りを見渡す。
(体力馬鹿って誰だろう。桑原君かしら…)
「山の方へいるよ。後で遊んでもらいな。」
「べっ別に遊んでもらわなくてもいいもん!どこにいるのかなぁ…って見てただけだし。」
私もう大人だよ??と頬を膨らませる姿を見て彼女はまだまだガキだよと笑う。
「大人なら出会ってすぐに抱きついたりしないさ。最近の子供だってそんな事しないよ?」
「そんな事ないもん。」
「それにいつまでたっても頭を撫でられて喜んでいるようじゃねぇ…。」
「あっあれは…!!」
徐々に顔が赤くなっていく栄子。恥ずかしいのだろう…、幻海はそんな彼女を見て嬉しくなる。
「まぁ…私にとってほとんどがもう孫の歳だからね。お前はそのままでいいんだよ?ガキのままで。まぁ、あれだよ、見た目は大人、中身はガキってやつだ。」
「ガっ…ガキガキってうるさいし!!それにそれ逆だし!!」
誰にでも抱きつくわけではないが、本当に会えたことが嬉しくて考えるよりも先に体が動いてしまう彼女は、確かに子供だろう。
祖母を早くになくした栄子だったため、幻海の事を本当の祖母のように慕っていた。
久々に会えば話す事は山のよう。
幻海はただゆっくりとお茶を啜りながら彼女の話を聞く。
時に笑い合い時に幻海に悪態をつかれ、時間はあっという間だった。