第12話 美しい薔薇には棘がある
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- 秀一Side -
「なんて…いったの?」
探るような彼女の視線。
それを聞くのか。
無視して部屋から出て行こうとする俺の腕を掴む彼女。
「なんていったの?」
なぜそんなにこだわるのか。
あの女の影響か。
言いたくない、でも知られた方がいいのかもしれない。
俺は窓越しに視線を反らし口を開けた。
『…なら、俺のしたい時だけ呼ぶよ。』
その瞬間彼女を包む空気が一気に変わるのが分かった。
同時に頬にかすかな痛みが走る。
それくらいじゃ俺は傷つかないんだよ。
それよりも、今君が俺に向ける視線の方が痛い。
裏切られたと、憎しみのこもる瞳。
「最低…」
かすれた震える彼女の声。
…動悸がする。
俺は君が欲しいのに。
欲しても意味がないのにこの気持ちはどうしたらいいのか。
残酷な人だ。
その場を去ろうとする彼女の腕を掴む。
そこに映るのは今にも泣き出しそうな潤んだ瞳に傷ついた表情…。
なんで君が傷つくんだ。
苦しいのは俺なのに。
胸を押し返す手に自身の手を絡める。
胸が高鳴る。
眩暈がする…。
もう…
限界だ。
彼女を捕らえた時、俺には理性などもうなかったんだ。
震えて逃げようとする彼女にすら煽られて…
止まらないと思った。
もう止める気などなかったのに。
唇を奪い、口内を犯し、このまま自分を彼女にねじ込んでしまいたかった。
「んっ…」
まるで獣の様な貪るような激しい口付け。
とても柔らかく、熱くとても甘い。
それをどれだけ堪能したか、だが満足出来ず本能のまま彼女の唇を貪る。
抵抗しながらも、息苦しそうに何度も酸素を取り入れ様とするが、それをも許さない。
「やめっ…」
顔を逸らそうとも無意味だ。
余計に俺を煽る事に愛しい彼女は気付かない。
ベットに押し倒すと彼女の体が強張ったのが分かった。
彼女の揺れる瞳から涙が流れる。
「…そんなに…いや、か。」
わかっている。
もう昔の様には戻れないと…。
その瞳を見て確信に変わった。
怯えた瞳にすら煽られる自分は本当に獣以下なのかもしれない。
俺は熱を持つ自分を抑えるのに精一杯だった。
これできっと彼女は自分から離れていくだろう。
「…送るよ」
俺が壊した