第11話 炎と狐
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静かな夜更けに、風を切る様に屋根の上を走り抜ける飛影。
どれ位走っただろうか。
時間の感覚等ない。
先程から彼の脳裏を占めているのは、もう二度と会う事はないだろうと思っていた彼女の笑顔。
それは鮮明で柔らかくて想像していたものとは違っていた。
ふいに足を止め、自身の手の平を見る。
思い出とは単純なもので、香りや感触まではないのだ。
抱き締めた感触が離れない。
舌打ちをし、手を握り締める。
(俺はごめんだ…)
酔っていい事など何もない。
翌日、栄子は二日酔いだった。
昨夜の事はほとんど覚えていない。
気付けば幼なじみの家の寝室でいつの間にか寝ていた。
螢子達も同じ部屋だったのだが、皆仕事だったため、幽助達もろとも朝早くに起きて解散した。
そして…
皆さんお疲れ様です。
私はもう一眠りします。…と布団に潜り込んだのだけど…
確かに私は約束しました!!
幼なじみの引っ越し後の整理を共に手伝うと約束しました。
だけど…二度寝という至福の時に私からそれを剥ぎ取るなんて。
彼らしくない行動にもう少しだけ寝させてくださいと下手に頼んでみたものの…
なぜだろう。
私が何かしたのでしょうか??
すんご~く機嫌が悪そうなんですけど、彼。
にっこりと笑って
「起きないなら栄子粗大ごみに出していい?」
と禍々しいオーラを漂わせながら近寄ってくるものだから、私飛び起きました!!
私何かしたんですか!?
「あっあの…私、昨日…」
これは絶対何かしてしまったんだ。
「何かしたの…?」
恐る恐る見上げれば再びにっこりと笑う彼の顔。
だけど…
確実に目が笑っていません。
栄子は昨夜何があったか、痛い頭の中の記憶を無理やり引っ張り出した。
「あっ…飛影は?」
背筋にまたもや悪寒。
「彼なら昨夜のうちに帰ったよ。」
なぜか少し低くなる声。
そして自分を見る探るような翡翠の瞳。
全てにびびる栄子。
「な…なに?」
「…別に。」
別に…てなんですか?
絶対何かある。
だけど、記憶がない!!
秀一は恐々と見上げるの栄子の頭に手を乗せ、顔を覗き込み笑顔で一言。
「次あんな風に酔ったらお仕置きだから。」
私は一体何をしでかしたのでしょうか。