第1話 幼なじみ
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本当に大事だと思ってたの…
そりゃぁ、食欲はあったし他の人の事(秀ちゃん綺麗だなぁ、とか…)ちらっと考えたりしたけど。
すごく誠実で、この人が運命の人かな、なんて思ってたし。
平凡だけどずっとこんな幸せが続けばいいなって思ってたの。
もう辛い思いとかしたくないし。
大事だった。
私の事を一番に考えてくれるような気がして。
本当に悲しかったの。
自分が彼の一番じゃないんだってわかった時。
…でも、幼なじみが頭を優しくなでてくれたら、もういいかなっなんて思えて。
さみしかっただけなのかな。
誰かに必要としてほしいだけなのかな。
誰かの一番になりたいだけなのかな。
私は誰の一番になりたかったの?
私にとっての一番は彼だったの?
「やぱワンルームかな、安いし…。」
次の日の夕方、栄子は自室のソファにもたれながら、賃貸の冊子のページを捲りながら呟く。
昨夜は結局秀一の部屋で寝てしまい、朝方に帰った栄子だったが、珍しく何も言われなかったのは、秀一の家だったからだ。
栄子の両親の彼への信頼が絶大だからだろう。
ひさびさに泊まったわけだし、どうせなら遊んでもらえばよかったと後になって後悔するものの、これはこれからもいけるな、と小学生の時の様な気持ちになってしまい思わず浮かれる。
「5万円!新築で敷金礼金なし…ありじゃん?あとは…」
ぺらぺらと冊子を捲る。
ふと窓が風で揺れる。
(また来たのかな?)
秀一の部屋の窓が開く音。
そして微かだが話声も聞こえる。
たまに窓から誰か来ているみたいだ。
変わった友達だなぁ、と栄子は毎回思う。
何度か顔を見てやろうと待ち構えてた事もあったが、全て失敗に終わった。
秀一に聞くと、話を逸らされたり、流されたりする。
隠す理由がわからないが、言いたくないと言う事は何かしらあるのだろう。
まだ話声がしている。
栄子は冊子を床に置くと窓のカーテンに手をかけた。
そして、ゆっくりとカーテンの隙間から顔をのぞかせてみるが…
そこには締め切った秀一の部屋の窓だけ。
(やっぱり…)
息を付き諦めると、自分のベッドにそのまま仰向けに倒れ込んだ。
いつか絶対見てやる。
懲りない栄子。
その時である
ふと、ちりちりと痺れるような感覚。
右手のひらからだ。
よくみなければ分からない位だが、右の手のひらが少し光っている。
この感覚…。
時期が近い事を告げる。
(また…来たんだ…)
彼女は大きなため息をつき目を瞑った。
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