第9話 指令
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「…と、いうわけなんだが…」
おしゃぶりを加えた子供が言葉を濁す。
畳の上で正座をし、なぜか罰が悪そうに前にいる青年達を見上げる。
まるで青年達が小さい子どもを叱る様な、そんな図である。
「…コエンマ、それは霊界と魔界で取り決めた規約が守られてねぇって事だろ?それを俺達にどうにかしろって言うのはおかしいんじゃねぇのか?」
黒髪のオールバックの青年は、コエンマと呼ばれる子供、否、彼に呆れた様に言う。
「…幽助よ、それはわかっておる、わかっておるんじゃ…しかし、霊界の者ではそやつを捕らえる程の力を持つものはおらぬ。かと言って魔界の者達では人間界での行動制限は決めておる故、下手に動けぬといいおった。すべての決まり事があやふやになっては困ると…。ならば幽助、蔵馬、飛影!お前たち以外には他におらん!」
「だけど、それじゃぁ俺が規約破る事になるんじゃねぇのか?次のトーナメント出てぇんだけど、規約破ってもそれちゃんと出させてもらえるのかよ?」
「ぐっ…それは、わしは…知らん!」
強気な放置の言葉を投げるコエンマに、ガクッと肩を落とす幽助。
「はぁっ!?そんな無責任な指令あんのか?」
「フンッ、やっかい事一つも解決出来ず妖怪に頼る様じゃ、霊界が終わる日も近いな。」
飛影は柱にもたれかかった姿勢のまま、細めた瞳に視線だけをそちらに向け冷たく言い放す。
「飛影よ!おまえも魔界に迷い込んだ人間の帰還事業を管理しておるのだろう?ここは一つ人間界を救うと思って、協力してほしいんじゃ!」
「フンッ、俺の知った事か。俺には関係ない。」
「頼む!この通りだ!」
「何がこの通りだ!先にトーナメント保証しやがれ!!」
頭を下げるコエンマに幽助は噛みつく。
閻魔大王の息子。
コエンマ。
だが、今その威厳は全くといっていい程、ない。
二人が言い争いをしている中、自分には関係ないと言い放った飛影だったが、だからと行って去る気がない様だ。
すぐ側に座る無言の狐に目を向ける。
何か考えているのだろうか。
来た時から少し様子が変だと気付いていた飛影。
そして、コエンマの話を聞いた直後から彼の妖気が若干上がったのを飛影は見逃がさなかった。
物思いにふけっている彼をらしくないと思う。
「…蔵馬、何を考えている。」
飛影に呼ばれ、妖怪名を蔵馬、人間名を南野秀一。
彼は顔を上げ、形の良い口角を少し上げ微笑む。
「…いや、少し考え事をしていてね。」
「フッ、狐を悩ませる程の考え事か?」
秀一は笑った。
飛影は重傷だなと目を細める。
「おまえはどうするんだ?」
「指令?…俺は受けるよ。」
やはりな、飛影は鼻で笑う。
それを聞いていたコエンマは「蔵馬!!」と歓喜の声を上げ、駆け寄り手を握り泣く。
幽助はまじかよ、と顔を歪ませ、飛影はやれやれと目を伏せた。
「ただ、指令解決後、俺達の状態は現状のまま。指令については何もしらない、これが保証されなければ霊界に手を回しますからね?ただより怖いものはありませんから。」
にっこりと黒い笑顔を向ける秀一にコエンマは一気に凍りついた。
狐は最後の詰めはやはり忘れなかった…。