第9話 指令
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事件が起きたあの夜、中原からの電話で駆けつけた秀一は栄子が男達に絡まれてるのを助けた。
自分の側にいるせいで彼女の霊力が上がってきている事は十分承知で、そのせいで狙われないようにと自分の妖気を少し纏わせ、魔界の植物で作った魔除けを日頃から色々な形にして持たせていた。
だから、狙われる可能性はあるが大事には至る事はないだろうと思っていた。
ましてやそんな霊力を好む妖怪や悪霊などたかが知れていたから。
だから何者かの妖気に当てられ目の前で人の頭が爆発した時は驚いた。
クエストクラスがなぜ…
その後、駆けつけた警察に事情を聞かれありのままを話した。
人間の目から見れば不可解で奇妙な恐ろしい事件である。
秀一は今日、その現場にいた。
警察の捜査も一段落ついてか、人々は何事もなかったのかの様に通り過ぎる。
ここであの様な事件が起こったとは思えない。
(まだ臭うな…)
秀一はもう一人の自分に意識を移す。
あれは知っている匂いだった。
彼の記憶の中でまだ新しい記憶を探る。
火薬と妖気の香り。
もう五年以上前になる生死の戦い…
(まさかまだ生きていたとはな…)
秀一は自身の中で狐がゆっくりと目覚めていくのを感じていた。
確信はついてた。
ただ、居場所がわからない。
狙いは自分ではない…
栄子だ…
今までの爆発事件の被害者は女性である、また年齢も容姿も彼女に似ているのを彼は知っていた。
拳を握りしめ瞳を伏せる。
遠く遥かな記憶。
今でもそれは心を締め付け、決して色あせる事はない。
過去に思考を移しかけた時だった。
思いにふける彼の携帯電話のバイブが鳴る。
着信相手は自分のよく知る友人だ。
すでに電話内容の検討はついていた。
彼は数コールでそれに出た。