第8話 苛立ち
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「遊園地?」
竜崎の言葉に思わず復唱してしまう栄子。
「うん、そう。映画は今日見たし、次は遊園地いこう。近々さ!」
二人はドライブをしていた。
車内のオーディオの明るさもささやかなもので、辺りはすでに暗くなっていた。
竜崎の幼さの残る笑顔の頬がかすかに赤くなっている事に栄子は気付く。
(…照れてる。)
普段の仕事っぷりの大人な彼からは想像のつかない、自分にたまに見せる幼く年相応のかわいい表情であった。
栄子は思わずくすりと笑みが零れる。
(癒やされちゃうなぁ…本当に。)
何も言わず、少し微笑んだだけの彼女の様子を肯定にとれなかったのか、竜崎は不安気だった。
「…だ、だめかな?」
声が弱々しくなる。
栄子はもう一度くすりと笑うと
「OKだよ、またいこう!」
と優しく彼に笑いかけた。
(あっ…表情が明るくなった。かわいいなぁ…)
彼の百面相で遊んでいるわけではないのだが、素直な彼だから仕方がない。
いつも誰かしらに自分が遊ばれいる為、逆の立場?になるとこういう気持ちなのかとわかる。
遊んでいるわけではないのだが。
「じゃぁ…3日後、俺仕事休みだから―…」
「あぁっ!!!」
甘い雰囲気もなく栄子はたまたま横目で見た携帯電話に対して奇声らしからぬ声を上げた。
時刻は23時55分。
秀一に自分が言い出した約束を思い出す。
「やばい…、竜崎君、ごめん。もう帰らないと…」
一気に血の気がなくなっていく栄子。
「えっ…だっ大丈夫!?」
竜崎は彼女の様子に何事かと思い理由を問うと、門限だと聞かされ帰路に方向を変えた。
「真面目だね、栄子ちゃんて…。門限あるんだ。」
少し意外そうな、しかしさみしそうな表情で栄子を見る。
「あっ…家じゃないんだよ?幼なじみと約束してるの。」
(…どうしよう。電話でない、メール返ってこない…これは、怒ってる。)
「…幼なじみって、よく迎えにきてくれてる彼?」
「そうだよ。やばい…電話でない。秀ちゃん怒らすと怖いんだよ―!」
困り焦った様子で携帯電話をいじる栄子。
「…仲良しなんだね。」
「まぁ…、これから仲良しかわかりませんが…」
竜崎の低くなった声色に気付く事のない栄子は、だただこれから起こるであろう、恐怖の事態に身を震わせていたのだった。
以前学生だった頃、約束を守らなかった栄子は、その頃、家庭教師としてやってきた秀一に涙の様な報復を受けたのだ。
(学生じゃないから、あんな山のような宿題出されるとかは…ないんだろうけど。なら…なにが来る!??)
すでに深夜12時は回っていた。
あたふたする彼女を竜崎は複雑な表情で見つめていた。