第8話 苛立ち
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
飛影は屋根の上を駿足で移動しながら先程の妖狐の様子を思い返していた。
(あの狐があんな風になるとはな…)
以前、蔵馬の部屋で戯れていた人間の女。
興味がなかった為、顔も見ていない。
だが、あの蔵馬をあんな風に乱れさせる人間に、飛影は少し興味を持った。
ほんの少しの興味だが。
飛影にとっては戦いに比べればとるに足らない興味である。
ただ最近のこの平和な世の中で余裕や彼自身が嫌うゆとりが生まれた為出たもの。
「…暇つぶし位にはなるか。」
飛影は自分と蔵馬を重ねる。
友人の気持ちが分かり、心配だからこそ出る興味でもあった。
飛影自身はそれを認めはしないだろうが。
(類は友を呼ぶ、か…)
遠くを見つめる飛影。
(もう過ぎた事だ…)
彼は胸元から氷泪石を取り出す。
首から下げている石とは違い、形は歪んでいる。
まるで未完成な氷泪石。
彼はそれをぐっと手の中で握りしめた。
.