第7話 忍び寄る影
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「竜崎君、グラスはここでいいのかな?」
「うん、あっ…もう少し右で。」
「はぁい、よし。次は灰皿だね。」
パタパタと動く栄子。
彼女は竜崎の経営するショットバーにいた。
開店30分前。
「栄子ちゃん、もういいよ?ちょっと休憩して。」
「はぁい!」
竜崎はどうぞ。とディタグレープフルーツを栄子に渡す。
「えっ、いいの?仕事前だよ?」
「いいよ、どうせその内飲むんだし、一杯位先に飲んだって変わらないよ。というか、わざわざ休みの日に手伝いに来てもらってるし、そのお礼。」
「いや、予想外のお休みだしね…それに、ちょうどバイトほしいって言ってたから、ちょうどよかったよ!」
ふふふと笑い、じゃぁいただきまぁす!と嬉しそうにお酒に口をつける栄子。
「でも、すごい会社だねぇ…リフレッシュ休暇に10日もいきなりくれるなんて。俺の店なら赤字だわ。」
「まぁ…ねぇ。」
そうなのだ。
リフレッシュ休暇。
彼女の職場にそんな休暇は存在しない…。
だけどとても社員思いの会社だ。
だからだろうか。
さすがに人が目の前で爆発して、精神的に参っていると思われているのかもしれない。
びっくりする位の長い休みを戴いたのだ。
とりあえず10日間。
このとりあえずもあいまいな為、本当に休んでいいのだろうか。
もしかしたら軽く首ということなのだろうかと心配になり、中原にも聞いたがただのリフレッシュ休暇だと言い切った。
心配だ。
給料も心配だが…
他も色々と心配だ…
『しばらくは勝手な行動とっちゃだめだよ?どこかに行きたい時は俺がついて行くから。』
心配してくれていたのは幼なじみも同じだっだ。
翡翠の綺麗な瞳を揺らしながら頭を撫でてくれた優しい人。
だけど…
暇だ。
秀一いわく、あの事件は自分狙いだったかもしれない、と。
だから大人しくしていなければならない。
だけど…
それは予想にしかなくて。
そんな時、彼女の携帯電話にタイミング良くきた竜崎からのアルバイトの話。
幼なじみはかなり渋っていたが、ふらふら出歩くよりはマシだろうと、渋々だが許してくれた。
まるで保護者である。
彼女はそう思いながらも口には出さなかった。