第6話 廻り出す歯車
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その頃。
下ではサイレンが鳴り響き、人が集まり和が出来ている。
「所詮人間だな…。しかし、驚いたな。」
地上から50階の所に位置する高級ホテルの一室では窓側の壁が一式強化ガラスでできている。
そこから、黒真珠の様な瞳を細め下界を見下ろす男がいた。
「何がおどろいたの?」
男の背後から白く細い腕が肩から首を交差してゆっくり抱きしめる。
腕を回した女は男の長い黒髪に顔をうずくめる。
「見つけたんだ…」
男は憂いを含んだ口調で呟く。
「え…?」
男の言葉に女の心臓が跳ね上がる。
怪訝そうに男を見つめると、男はガラス窓を顎で指す。
女は覗くが、高過ぎるため地上がよく見えず顔をしかめる。
微かだが人が群れているのだけが分かる。
「おまえの部下達に任せたんだが…失敗したよ。」
(危うく気づかれる所だった…いや、もう気づかれたかな。)
「部下…?」
「父親の稼業だったか、それの下の人間数名だ。」
女は目を見開き、少しだけ青ざめる。
「…だめだったか?」
なにを?と聞かずとも分かる答え。この重い空気がそれを告げる。
どうやら彼らは死んだらしい。
いや、殺された。
この目の前の男の手によって。
正確に言えば男の能力によってだが。
「…もうすぐ手に入る。」
男は女の頬に手を添える。
見つめる瞳は女を映さない…遠くを見る瞳。
「…行く、の?」
女は潤んだ瞳で男を見上げる。
何を見つけたのか、女は言葉に出さずとも知り得ていた。
男は目を細め口元に弧を描く。
自然に瞳を伏せる女の唇に柔らかく冷たい唇が触れる。
何も答えないその唇は徐々に深くなり、ただ女の唇の熱を奪っていく。
女の目尻から一筋の涙が零れた。