第1話 幼なじみ
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「なんでこうなっちゃんだろ…」
目元に涙を浮かべながら栄子は、夜食のおにぎりを頬張る。
机に積まれた沢山の書類。
カチカチとなるパソコンを打つ音。
「ねぇ、私どうしよう…。」
栄子はこの部屋の主に言葉を投げかけた。
一時間ほど前の出来事。
『別れたいんだ…』
久々に会えた愛しい人からの別れの言葉。
夜まで仕事だというのでやっと会えたのは夜の11時。
待ち合わせに選んだバーは二人が始めてデートをした思い出の場所だった。
愛しい彼からの思いもよらぬ一言にカクテルを口に含んだまま固まる。
『…俺、おまえの事前みたいに好きとか思えなくなった…』
栄子は口に含んだカクテルを喉に通してみる。
味がわからない。
動揺している自分に気づくのと同時に
これは現実なのだと、別れを告げられてるのだと、改めて感じる。
栄子が『なぜ…』と言葉を発しようとした時だった。
ふいに愛しい人の名を呼ぶ女性の声。
その声の主は扉の近くにいる女性二人の内の一人のものだった。
明らかに動揺する彼。
彼女もこちらに目を向けたものの、傷ついた様な表情を浮かべ、すぐ背を向ける。
扉の開く音…
愛しい彼の焦った表情。
そして『ごめん』と一言だけ言うと、慌てた様子で自分の前から姿を消す。
一連の出来事は風の様に過ぎる。
(…そういう事なんだ。)
不思議と冷静な自分に静かに驚いてしまう。
まるで自分だけを切り離した世界で起こった出来事の様にそれは客観的に映っていた。
栄子はその場は平常心で居られたものの、時間が立つにつれ、それはじわじわと悲しく複雑な気持ちに変わっていった。
気付けば、隣の家の幼なじみの所に来ていた。