第6話 廻り出す歯車
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どうしてこうなったのだろうか…。
外で頭を冷やそうと、冷静になろうと涼みにきただけのはずだ。
「おねえちゃん、こんな所で涼むならあっちいこうよ~」
強引に腕を引っ張る男。
「ちょっ…やめてください!」
店の前の歩道のベンチに座っていた私は、三人のガラの悪そうな男達に絡まれ大ピンチ。
道行く人には睨み付け、物を言わせぬチンピラ達。
誰かについて来てもらえばよかったと後悔する。
一人に腕を引っ張られ、行ってたまるか!と、足を踏ん張るものの男の力には勝てなく、ずるずると引っ張られていく。
もうすぐ警察が来るはずだ。それまでの辛抱だと必死に足掻く。
が、絶望は目の前。
道路脇に止まっている黒のベンツに、前を歩く二人は乗り込む。
(あ…リアルにやばい。)
栄子は青ざめ、周りに助けを呼ぶ。
サラリーマン風の男性が助けようと男に注意するが、顔面を一発殴られ撃沈。
何人かで助けようと向かってくる人たちにも、キラリと光る刃物をちらつかせ、近づかせない。
もうだめだ。
こいつらに好きにされて、売り飛ばされるんだ。
あの時、外に出ようとなんてしなければ…
犬の鳴き声なんて聞かなければ…
そもそもあんなに酔うまで飲まなければ…
後悔の波が押し寄せる。
自然と体がガタガタと震えだす。
車との距離が近づき、真っ黒な未来を予想していた時、聞き慣れた声が響いた。
思わず振り返ると、そこには見慣れた赤い髪に翡翠の瞳があった。
「秀…ちゃん…」
「失礼ですが、彼女何かしたんですか?それならお詫びするので、彼女の腕を離してもらえないでしょうか?」
少し微笑んで話す秀一。だが目が笑っていない。
「あぁ?なんだおまえ。」
隣の男は刃物をちらつかせる。
なぜここに秀一がいるのか、栄子は今はそんな事を考える余裕さえなかった。
ただ秀一の顔を見た瞬間体の震えが止まり頬が緩んだ。
おかしな話である、こんな状況でひどく安心している自分がいる。
それだけ彼が日頃から栄子を助けてくれるわけだが…。
だが、状況が状況だ。
逆に秀一の身も危険ではないのかと気付き青ざめる。