第6話 廻り出す歯車
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それからもしばらく宴会は続き、飲み比べをする者、恋話やおもしろい話で盛り上がる者…。
各自楽しく時間を過ごしていった。
その中で栄子はというと、皆の和から外れ窓から顔を出して涼んでいた。
(結構飲んだなぁ…眠たいなぁ…)
とろんとした瞳で夜景を眺める。
見慣れた街。
たくさんの思い出の詰まった土地。
決して自宅から近いわけではないが、この街は栄子にとって酸いも甘いも教えてくれた街なのだ。
あの失恋だってその一つである。
あの時は自分がすごく可哀想に感じてしまっていた。
本当に辛かった失恋だったが、自分に酔う位ならまだまだショックではないのかもしれない。
しかも食欲もあったし立ち直りだって早かった。
(本当に好きだったんだよね…?)
時間が経つに連れ疑問になっていく想い。
そんな事を回らない頭で考えていると、無駄に体力を使っているのか、睡魔が襲ってくる。
うとうととし始め、力が抜けたら夢の中に行ってしまいそうな時、ふと自分の名前を呼ばれた気がし、強引に意識を戻す。
「栄子ちゃん、酔っちゃったの?大丈夫?」
振り返った栄子ににこにこと笑いながら近づいてくるのは、同じ時期に隣のショップに入社した男の子。
ある意味同期な為、それなりに話すし仲もそれなりに良い。
雰囲気の柔らい彼は癒し系な上、それなりに格好いい為、なかなかもてる。
さっきも何人かの女性スタッフに囲まれていた。
「うん、ちょっと飲み過ぎたみたいで…冷ましてるの。」
「なら外出た方がいいんじゃない?ここ空気も悪いし、外の方が涼しいよ?」
「…そうね、そうするわ。」
それもそうだ、と栄子は納得するとさっそく外へ向かおうと足を一歩前に出すが酔いのせいか足がもつれてバランスを崩す。
「おっと、大丈夫!?」
とっさに彼に支えられ転ばずに済んだものの、自分のお酒を飲む自制の無さを悔やむ。
そして、お礼を言わなければと彼を見上げようとした時だった。
背筋が凍る。
とても冷たい視線。
痛い位に感じるその視線の先は…
(窓の、外?)
「体調、悪い?」
支えていた体が固くなったのを不思議に思ったのか彼は優しく背中を撫でてくれる。
なぜか、さらに強まる突き刺さる様な視線。
「大丈夫だから、ありがとう。」
彼からゆっくり離れる。
一気に酔いも冷め、赤かった顔が青ざめていくのを感じる。
そんな栄子の様子に気遣ってくれたのか、彼は飲み物をもらってくるからと、彼女を座らせ移動する。
どうやら体調が優れないと思ったらしい。