第65話 燻る片想い
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温かな夢を見る
太陽の日差しを浴びながら
大海原の上をゆっくりと浮く感覚
潮の香りがとても大好きで
はるか昔、生命は海から誕生した事さえ
生まれながらに知っているような
落ち着くその波音と深い青-…
そして-…
『---…』
名前を呼ばれれば砂浜にいる大好きな二人の笑顔が目に入って-…
もう少し待ってと言えば
そろそろ上がらないと体が元に戻るからと心配される
時間と共に変化するこの体は
人と人魚の血を持った体
伸ばされる手は大好きな大きな父親の手
抱き上げられるその大きな胸板に顔をうずくめれば
母が美しい口元で小さく笑い、長く白い指で優しく私の髪を梳かす
『大好きだよ』
『愛しているわ…』
向けられる温かな言葉に笑みが零れる
温かで-…
朗らかで-…
甘くも優しい日差しの様なその中で少女は瞳を閉じた-…
(ゆ…め?)
覚醒して行くと共に目に入る景色。
部屋の天井にあるシャンデリアが目にはいる。
頭が今だにぼんやりするものの、頬を伝うそれに栄子は驚いて起き上がる。
ぽろぽろと落ちて行く涙達。
ベットの上に枕の上にと出来上がる涙の石。
そして、いつもの様に時間がたてば溶けて行く。
「あれ…なんでだろ…」
思い出せない夢。
でも酷く温かい気持ちだけが胸の奥に残っていた-…。
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