第6話 廻り出す歯車
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最近栄子は違和感を感じていた。
外出時に感じる視線。
それはここ最近気が付いた。
辺りを見回してもそれらしい人物はいない。
どこかで見られてる?
しかし、何か起こるわけでもない。
どっちかといえば最近は楽しく毎日を過ごせている方である。
その日の夜は、月末にある恒例のスタッフ達皆で集まってのお疲れ様会であった。
隣のショップのメンズメンバー達も呼んでの飲み会。
一時会はショップ近くにある馴染みの居酒屋。
「お疲れ様です!かんぱーい!!」
個室を貸切にしての飲み会は、毎月恒例のため盛り上がりは半端なく騒がしい。
「先輩ー!飲んでますかぁ!?」
栄子は片手に熱燗を持ち、少し赤くした顔で中原の所に来る。
「あらあら、浅野さん。ちょっと酔ってるみたいだけど、大丈夫?」
心配気に顔を覗き込む中原。
栄子は彼女にお酒を注ぎ、隣に腰を下ろす。
「全然酔ってないですよ?私これでも強い方なんですから。」
「それはカクテルとか酎ハイの話でしょ?前みたいに吐かないでちょうだいね。」
瞳を細めて笑う彼女に栄子はうっと詰まる、それを横目に中原は熱燗をくいっと一口で飲んだ。
周りの男性陣が「中原さんいい飲みっぷり」と手を叩く。栄子も彼女に注ぎ返されると、負けてられない!と気合いを入れて一口で飲む。
「なんだ?これは二人で競うのかぁ!?」
勝手に周りが盛り上がっていく。
「だめよ、無理して飲むもんじゃないでしょ?ゆっくり飲みましょうね?」
中原はにっこり栄子に微笑みかける。
意地悪な時はとことん意地悪な先輩だが、本当はすごく優しい上に色気がある。
お酒のいきおいで聞いてしまおうか。
しらふに聞くとそれをネタにいじられるのが目に見える。
今しかない。
「…先輩!!!」
「なぁに?」
少しとろんとした瞳は艶っぽく色気漂う。
「先輩はなんでそんなに色っぽいんですか?」
「あら…色気出したいの?」
「まっまぁ…」
あっさりと返され、思わず力を入れて聞いた自分が恥ずかしくなってしまう栄子。
そうねぇ、唇に指を当てて考える彼女。
その彼女の後ろから隣のショップの店長が顔を出す。
「中原が色っぽいのはそれなりの経験もあるが、色気っていうものは出そうとして出るもんじゃないだろ。自然と醸し出るもんだろう…」
彼の言葉に中原は反応する。
「あら、そうかしら。確かに環境や経験でも左右されるとは思うけど、努力次第でもあると思うわよ、私は。」
「いや、違うね。色気ない奴は何やったって出ないよ。努力とかそういうものじゃない、フェロモンがあるかどうかで色気を感じるか感じないかで…」
「女性は努力次第で変われるものよ?色気だって同じよ。」
「それはそうだけど、だがー…」
「そういうなら言わせてもらうけどー…」
終わらない討論。
ここで聞いたのが間違いないだったのかもしれない。
栄子は再び熱燗を持ち席を立った。