第5話 出会い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「竜崎君のお店、超おしゃれじゃん!!」
レンガ作りの内装に、大きな水槽の壁。床にも水槽をあしらったアクアバーを売りとしている。
店自体はそんなに大きくないものの、海の中でお酒を飲んでいるようなそんな感覚にしてくれるお店だ。
「よかった、喜んでもらえて…、あっ何飲む?」
「じゃぁ、ディタグレープフルーツで。」
「了解。」
栄子はカウンターに座ると周りを見回す。
色々な種類の熱帯魚が栄子の周りを泳いでいる。
あれから度々会う様になっていた栄子と竜崎。
休みの日や時間が合えばたまにお茶やランチをする様になっていた。
今日はお店は定休日だという。
一度お店に招待したい、と言ってくれたので、定休日の今日ならゆっくりできると誘ってくれた。
慣れた手付きでカクテルを作る。
「どうぞ。」
「ありがとう、ってかわいぃー!」
出されたカクテルの中には色のついたイルカ形の氷や星形の氷が入っている。
「アクアバーだからね。」
彼は嬉しそうに笑う。
「しかもおいしい!」
思わず頬に手を当てる。
それからはまたいつもの様にたわいのない話が始まった。
彼の初めの印象は年下ならではのかわいさや純粋さがあると思っていた。
だが、仲良くなるうちにわかった事は、彼は若いなりに店を経営してるだけの事はあって、しっかりしている上に意外と大人だ。
年もいってみれば3歳の差。たいして変わらない。
「栄子ちゃんは年齢より大人っぽいよね?よく言われない?」
こんな発言も沢山のお客さんを見てるから言える事なんだろう。
「えぇっそれって老けてるって事じゃないの??」
「ちがうよ。かわいいというより綺麗な顔立ちだからかな。」
初めてあった頃はこんな風な言葉を使う人だとは思わなかった。
なのにこの変化。
たぶんこれが彼の素なのだろう。
「ありがとう。でも竜崎君も見た目より大人よね。年下に思えないわ。」
「それって…みた感じガキって事だよね?」
少しムッとする彼に栄子は笑う。
「でも大人っぽいししっかりしてるんだよ?見た目とのギャップが逆に魅力的だと思う。」
彼と話すのは楽しい。
素直だからか会話のひとつひとつが胸にすっと入る感覚だ。
「……。嬉しいなぁ。」
「ん?」
「栄子ちゃんの中で俺に少しでも魅力を感じてくれるなら、すごく嬉しい。」
恥ずかしそうにニッコリと笑う竜崎。
(この顔、癒やされるなぁ…本当に素直だわ。)
「あっ、次何飲む?なんかお勧め作ろうか?」
そして気が利く。
「ならそれお願い。」
「おまかせあれ!」
気分良く栄子は笑う。
こういうのがいいのかもしれない。
つき合ったり恋したりしてしまうと、絶対別れが付きまとう。
なら何も変化など望まず友達のままでいたい。
なら裏切られる事も裏切る事もない。
今しばらくは恋愛はいらない。
ただ楽しければそれでいい。