第61話 居場所Ⅲ
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『いっちゃったね…』
『いっちゃった。』
『どこにいっちゃったの?』
きゃっきゃと妖精達の声が響くのは、淀んだ闇がぐるぐると渦巻き、重力の無い空間。
『ねぇ、どこに行ったの?』
≪迎えがきたのよ?≫
そしてそんな中、別の声が響く。
『迎え?』
≪そう、あなた達の役目はもう終わったんだよ?≫
『お疲れ様』
『おつかれさま』
すっとその空間の中に現れる少女。
まだ幼さの残るあどけない少女。
しかい纏うオーラはどこか妖艶で艶やかだ。
そして、その周りをくるくると回るように現れる妖精たち。
≪だから、あなた達も本来の世界にお戻り。≫
『うん、帰ろう帰ろう』
『帰ろう。』
少女は微かに微笑むとゆっくりと瞳を伏せる。
≪…いっちょまえに成長して…やっとか。≫
ぽそりと呟くのはどこか親しみのこもった言葉。
そして-…
≪もう、離れないでくれよ。今世まで世話かけんな。蔵馬に、栄子-…。≫
どこか懐かしくも遠い目をして、少女は静かに呟けば瞳を伏せれば、すぐ少女の目の前にすっと妖獣が現れる。
≪迎えにきてくれたんだ、ありがとう。≫
慣れた手つきで頭を撫でればそれの背に乗り、岐路を正す。
≪さて、修羅君の所にでも戻ろっか。≫
少女はそう呟けば、幼獣は足で空間を蹴り舞い上がった。
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