第57話 解かれる呪縛
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ただ止めなければと思った…
ただただ必死で、間に合わないと思った瞬間熱い何かが体の中から溢れた気がした…
「…栄子…」
金色の瞳が大きく開き驚愕の色を乗せれば自分を見下ろしながら激しく揺れている。
よかった…
間に合ったんだ…
ただ彼の顔を見てそう思い安堵した。
ほっとすれば自然と頬が緩んだ気がした…
後ろで感じる鴉の妖気が動揺しているのか激しく揺れているのが分かる…
ごめんね、秀忠…
振り返りたくても何かに邪魔されてうまく振り返れない…
体が言う事を聞かない…
頬に触れる震える指に、また微笑む-…
それに堰を切ったように蔵馬が何かを叫ぶ。
聞こえないよ、蔵馬。
どうして、そんな泣きそうな顔をしているの?
体を抱きしめられても感覚すらなくなっている自身の体。まるで借物の様で…
秀忠はずっとこんな感じだったのかと思えば、酷く悲しくもなった。
栄子の頬を伝っていた涙が彼女の足元に広がる血溜まりの水溜りに落ちれば静かに溶け込んで行く。
あぁ…
こんなに体はまだ熱いのに…
寒くなんかないはずなのに…
震えてしまうのはなんでだろう。