第57話 解かれる呪縛
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真っ赤な月が見下ろしていた-…
何度も見る血の様な赤い月。
その月が空に上がるたびに体の奥が熱くなったのを覚えている。
「-…ママ…」
小さくその少女は呟いた…
すでに機能をなくした自分の体…
ただ沈んで行く…奥に奥に…深く…
そんな意識が薄れる中で聞こえるのは確かに昔自分に愛情を注ぎ笑みを向けてくれていた男の声。
自分に向けて悲痛に謝罪を繰り返す。
しかし、それも今となってはなぜ謝られているのかさえ分からない。
ただ分かるのはもうすぐ大事な人が戻ってきてくれるという事だけ…
「…マ、マ…パ…パ」
もう一度家族三人で居られる。
目が覚めたらまた一緒に笑いあえる。
そう少女は信じて目を瞑った-…
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ざぁざぁと振り注ぐ激しい雨
涙は雨の粒と混ざり大きな水滴となった
ころころと落ちる涙の石…
それも一瞬その女の前では意味を失くした
ほんの数秒の間…実際は一秒もなかったのかもしれない
ただ…
地面に落ちた涙の溶ける時間がいつもより少し長く…
そして-…
ただその間、雨が時間と共に止まった
彼女を除いた他のすべてが-…
そして-…
静寂は過ぎ去り、再び雨の音が耳に入る。