第55話 大事の定義
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「何という事だ-…」
真っ青になるコエンマ。
その横でがたがたと身を震わすジョルジュ。
「コココココ…コ、コエンマ様…ジョ、ジョルジュこ、怖い!!!!」
針の山は跡形もなくただの砂山と化し、地獄の溶岩の湯は干からび…
すでに面影はなくなっていた。
すでにコエンマ達は最下層の一歩手前の層まで来ていた。
その途中で沢山の地獄の魂と出くわすものの、同じ霊界の戦士達の助け合ってやっとここまできたのだ。
ほんの数時間でここまで被害が及ぶとは…
もう、地獄の意味を成していない。
すでに魂達は至急用意された牢獄に閉じ込めるものの数が多ければ凶暴なものは排除するしかなかった。
そして…
まさかと思っていた事態。
「どうして…魔界のやつらがここにおるんじゃ。」
しかも、それもA…もしくはSクラスの者ばかりだ。
彼らの姿は見つけるも霊界の者で捕らえる事は出来ないが、だからといって、こちらに攻撃してくるわけではない。
攻撃してくるのはただ自由になりたいと嘆く地獄の亡者のみだ。
-…ただ先を進んでいく妖怪達。
地下奥から鳴り響く死霊の木霊に地面がぐらぐらと揺れれば、やはりやつらの目的が最下層なのだとコエンマは改めて思う。
「コエンマ様…どうされますか?これ以上は…」
特防隊は分かっているのだ。
これ以上先へ行けば最下層。
今、この様子からすでに最下層にも被害は及んでいる。
妖怪といえど下手な者は精神を乗っとられ生きて返ってこれるか定かな場所。
一度、コエンマも死にかけた場所だ。
「…行くしかあるまい。」
何が起こっているのかを見なければ。
意を決し顔を上げるコエンマに、隣ではさらに青くなりぶるぶると震えるジョルジュだった。
***********
静かだった-…
ただただ静かで…
まるでこの城には自分しかいないのではないかと思うくらい静かで…
階段を駆け下りる。
向かう先は庭-…
一階のテラスから庭に出れば、生ぬるい雨が頭上へ降り注ぐ。
それでも気にならないのは彼女の意識がただ一点へ向いていたからだった。
見開いたまま揺れる栄子の瞳。
彼女の視線が指す先にいる一人の女性。
「あなたは…」
記憶が蘇る。
知っている顔-…
否、正確には一度しか見た事はいのだが、衝撃的だった記憶な為忘れられる訳も無かった。
女性は柔かく微笑み「はじめまして…じゃないわね。」と笑みを深くする。
雨に濡れてか、どこか色気漂う艶やかな女性。
「こんばんわ、栄子さん。」
二回目だというのに、どこか見慣れた顔。
「あの時の…人…?」
…秀忠、否…鴉と魔界で出会ったあの夜、彼女と出会った。
月光の下に映る彼女の白骨化した腕。
そして確か躯に-…
あぁ、そうなのか…
きっと彼女は…
「あなたと話がしたかったの。」
彼と何か関係がある人なんだ…