第54話 金と翡翠の狭間
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-霊界-
「コエンマ様~~~~!!!たいへんですぅ!!!」
霊界の主の部屋へ続く階段を駆け上がりながら叫ぶ青鬼・ジョルジュ。
そして、やっと着いた主の部屋の扉を乱暴に開け放てば、その衝撃でか、天井に届くほど積まれた書類の山が机の前で利口に座る小さな子供へ降り注いだ。
「…あ、すみませぇん。ジョルジュわざとじゃないですよ、コエンマ様。」
えへへと口角が引きつりながらも笑みを作る青鬼に書類の束が飛ぶ。
「ばっかもん!!何をしておる!!!」
書類の山の中心から怒りながら飛び出すコエンマに、青鬼はわざとじゃないですよ~!!と泣き真似をするものの、それ所ではなかったのだと改めて思い出せば主の側へ慌てていく。
そして-…
「な、ななななななな…なんじゃと~~~~!!!!!じ、地獄で暴動!!?」
青鬼に掴みかかるコエンマ。
「ぐ、ぐるじい…ジョ、ジョルジュも意味が分かりません!!今地獄第一階層はすでに壊滅状態…い、一体何がなんだか…」
地獄で暴動などまずありえない。
地獄を管轄している霊界にとってただでさえ厄介な輩を集めた場所だ。
「霊界特防隊をやれ!!…し、しかしなぜそんな所で暴動が、ありえん…ありえんぞ…」
青ざめあわわ…と頭を抱えればはっと何かに気付く。
まさか…
コエンマに一瞬よぎる思考。
「ジョルジュ、ぼたんに伝言-…」
「コエンマ様、第二階層まで暴動が-…!!!」
扉が開くと共に他の鬼の言葉にきつく眉を寄せるコエンマ。
「くそ…どうも使いをやっても間にあわんな。」
コエンマは顔を歪め、青鬼に「付いて来い!!ジョルジュ!!」と言えば部屋を出て行く。
「ジョルジュ、暴動といったな、内部からという事か?」
廊下を走るコエンマと青鬼。
「はい、そうです。今必死で鬼たちが食い止めてますが、地獄の魂達が集まり幻覚作用も出てきてるようで、何人かの鬼達は既に餌食に…」
地獄の魂は肉体を持つことは無い。
だが、その邪悪な魂ゆえ集まれば幻覚を見せる事もあれば、中には肉体を乗っ取る事もできるものもいる。
地獄内だけでの制約。
一度外に出れば魂といえど自由。
「仕方あるまい、大事に至る前に抹消するしかないな…。」
(…首謀者は誰じゃ?…一体、何のために?)
コエンマの脳裏に過ぎる躯の異様な最下層への興味、そして狐が奪った禁術の本…
「最下層まで害が及ぶ前に止めなければ…霊界は大変な事になるぞ。」
(…いや、魔界なわけがない。霊界と全面戦争だと分かっているはずだ…だが-…。)
葛藤するコエンマ。
だが、とりあえず目の前の事態をどうにかしなければと現場へ急ぐのだった。