第50話 曖昧な赤
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それはとっても驚いた…
「け、蛍子!!!!!」
「あら、おはよう。」
朝、部屋から出た先でばったり会った友人。
まさかこんな所に人間界にいる友人と会えると思ってもみなかった栄子は夢でもみているのかと目を擦る。
「なにしてるのよ、昨日から来たのよ。幽助の応援で…。」
まぁ、試合中断みたいだから意味なかったけど…と面白くなさそうに目を細める。
「なんでそんなにびっくりしてるの?私はあんたがいきなり消えた時の方が驚いたけど。」
あの時は大変だったのよ?としかめっ面で指を指される。
「いや…すっごくびっくりしたから。」
「…そう?でも元気そうでよかったわ。」
そう言えば彼女は優しく微笑んだ。
「…まぁね。」
「ママさんにもうまく言ってあるから、大丈夫よ?」
「…蛍子…。」
そして、心配してなかったの?と首を傾げる彼女に、帰る時は時間を戻してくれるのだと言えば妖怪ってそんな事できるの!!?と目を見開いて驚いていた。
実際気にならないわけではない。
だが、幼なじみも両親にはうまく言ってあると言ってくれたから栄子は安心していた。
気にならないはずはなかった、今この時間を両親はどんな気持ちでいてくれているのか…。
いくら時間を戻してくれるといえど、今この時は流れているのだから…。
でも今帰るわけには行かない。
帰る機会は沢山あったけど、今帰ってしまえばきっとここには戻れない。
戻れるけど戻れない…栄子の中でそれは確信に変わっていた。
「今からでも顔出せば?きっと白状な娘だ!!って怒られると思うけど…ね。」
「……。」
(だめだ…想像したら悲しくなってきた…。)
その時だ…
すぐ背後で扉が開く音に、目の前の蛍子の驚く顔が目に入る。
「…あれ、おはよう、蛍子ちゃん。」
甘く穏やかな声-…。
振り返った栄子に優しく微笑みかける秀一。
「俺、朝食行ってくるけど…栄子達はどうする?」
一緒に行く?と笑みを浮かべる彼。
それに栄子は蛍子に向き直るものの、彼女は口をパクパクさせ赤面している。
どうやら酷く誤解を与えているらしい。
朝、同じ部屋から出てくる男女。
幼なじみといえど…きっと誤解している。
「蛍子、なんか勘違いしてるでしょ?秀ちゃんと一緒に寝てただけだよ?」
「ね、寝てた!!?…あ、あんた一体いくつよ!!」
て、本当に寝てただけなの?とでも言いたげな瞳を秀一に向ければ彼は静かに苦笑するので、蛍子は本当に申し訳なくなる。
栄子との付き合いは秀一が長いものの、女としてもう少し教育せねばと蛍子は改めて思う。
少なからず蛍子は秀一の栄子に対する気持ちは分かっていた。
「いくつって知ってるくせに、ねぇ秀ちゃん。朝から寝ぼけてるんだわ、蛍子。」
「ぼけてるあんたに言われたくないわ。」
それに酷い!!と唇を尖らせる彼女に、隣で笑う秀一。
秀一さんも笑い事じゃないですよ!!と言いたい所だが、彼が一番良く分かっているだろうから言えない蛍子。
関係の変化を望んでいるのか、望んでいないのか…
第一、こんなにも魅力的な男性と一夜を共に過ごせば女の方が意識して眠れないのではないだろうか。
だからこそ、栄子はある意味、本当にすごいのだと思う。
(幼なじみって伊達じゃないわね。)
しみじみそう思ってしま蛍子に「変な蛍子ね」と笑う栄子。
突っ込みたいところ満載ではあるが、とりあえず腹ごしらえだと蛍子は秀一に賛同したのだった。
「わぁーい、蛍子とご飯だ。」
喜ぶ栄子に、蛍子が大きくため息をついたとはいうまでもない。