第50話 曖昧な赤
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森の中-…
泉のほとりでかがむ者が一人。
黒いフードに身を包むものの、隙間から出る白い指-…
指で水を弾けば小さな弧が描かれ次第に大きく広がる。
きらきらと小さな光達がどこからか舞い出せばその者の周りをゆるやかに飛び回る。
「そう…あなた達が運んでくれたのね?…ありがとう。」
艶やかな声は小さな光達にお礼を言う。
それに嬉しそう飛び回る光。
否…妖精。
「でも人間は体が弱いのよ?運ぶ場所はちゃんと考えてくれなくちゃ…、あら、怒ってるわけじゃないのよ。ただ魔界の花の毒はやっかいでしょ?」
少しばかり悪態をつくもそれでも優しく諭す女に妖精達はきゃっきゃっと姿を現し彼女に話し出す。
『躯…契約者、信用できるから』
『躯は契約者だから連れて行った』
『連れて行った』
それに苦笑する女は、そう…と微笑む。
「そういえば、あなた達の手は大丈夫だったの?」
『大丈夫じゃない』
『何匹か死んだ』
『死んじゃった…』
それにも、女は少しばかり俯き、そうなの…と小さく呟く。
「ありがとう…小さな友達さん。」
『友達…』
『友達大事』
きゃっきゃと再び言葉が飛び交う。
女はそんな中、じっと夜空を見上げる。
見えるは青い月-…
しかし、脳裏に住み着くは…
血のような赤い月だった-…。
「私は…あなたさえ生きてくれればそれでいいの。」
そう呟けば手を空に伸ばした。