第49話 薔薇の君
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それはとてもとても寝苦しい夜だった-…
以前見ていたはずの悪夢には拍車がかかる。
自分を責める大勢の声-…
自分を呪う亡骸達-…
憎しみの篭る恨み声は悪夢から覚めても耳に残るほどだった。
真っ黒の沼に足から引きずられ頭を押さえ込まれ死に導こうとする見知った顔達。
そして顔さえ知らない若い女性の悲痛な叫び声は永遠と木霊する。
寝ることが怖かった。
以前から夢見に臆病になってはいたものの、ここまでではなかったのだ。
(寝れない…)
呆然とする意識の中、未だ頬に伝う涙。
気だるい体に、未だ頭の中で聞こえる恨み声。
枕は涙で染めり、体も汗でびっしょりだ。
少しでも寝苦しさをましにできればと、寝る前に少しあけた窓からは、魔界では珍しく涼しく気持ちの良い風が入ってきている。
そして一緒に風に乗って入ってくるのは…
酷く安心する香り。
これが何かは分かっていた。
だからこそ、窓をあけて眠りに着いたといっても過言ではなかった。
目を擦ればその香りにつられるかのように窓辺に向かう。
安心する香り。
でも同じではない…
でも酷く似ていた。