第47話 戯言
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降りしきる雨…
淀んだ魔界の空に亀裂が走り、風ががたがたと窓を揺らす。
躯の城の一室。
中央に構えた大きなベットには穏やかな表情を浮かべ静かに寝息を立てている栄子の姿。
そして、それをすぐ側で椅子に腰掛け静かに見下ろす秀一。
優しい眼差しにどこか寂しげな色を乗せた翡翠はただ微かに揺れる。
長い指が彼女の額に掛かる髪を分ける。
そんな中に響くのは扉の開く音。
それに秀一は振り返ることもなく眠る彼女に視線を落としていれば後ろから低い声が掛けられる。
「…蔵馬、栄子の容態は?」
狐の隣に来れば同じように彼女を見下ろし、眉を寄せ赤い瞳を細める飛影。
「問題ありません、ただ気を失っているだけです。」
「……。」
「躯の様子はどうですか?」
躯の様子を聞くも秀一の視線は彼女から離れる事はない。
「…まだ体が痺れて動けん。今、ルナを治癒に当たらせている。」
「そうですか…。」
目を伏せる狐。
飛影はそんな彼を見てさらに深く眉を寄せる。
「…詳しく話してもらおうか、蔵馬。」
苛立ちを隠しきれない低い声。
知らなかったとはいえ危険に晒された栄子と躯。
自分が居てさえすれば少しは何かが変わっていたのかもしれない。そう思わずにはいられない飛影。
忌々しそうに眉を寄せる飛影に狐の頬が微かに緩む。
「そうですね…俺も話すべきでした。それに-…」
蔵馬の視線が扉に向けられる。
それに飛影も気付いていたのか面倒だとばかりに舌打ちをする。
「…いるんだろ?」
そう言えば、ゆっくりと開く扉-…
そこに立っていたのは…
「ちぇ…みつかってたか。」
と罰が悪そうに舌を出す修羅の姿。
そしてすぐに笑みを浮かべれば言葉を続ける。
「黒髪の男の事でしょ?…俺も混ぜてよ。」
と瞳を光らせ、「まぁ、嫌だって言っても勝手に聞くし付いて行くけどね…」とけらけらと笑う。
「…場所を変えましょう…か。」
秀一は軽く笑みを浮かべ瞳を伏せた。