第4.5話(妖狐編I)
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初めはただ気にいった。
それなりに成長したら俺が女にしてやってもいいと思う位は。
傷が治ってからも娘の側にいたのは、そんな理由とただの暇つぶしだ。
気まぐれな遊び。
『俺はおまえを嫁にしたい』
俺の頭上で秀忠は栄子の頬に口付ける。
毛が逆立った。
栄子は顔を真っ赤にして固まっている。
吐き気がする。
初めて栄子が憎く感じた。
それからだ…
栄子は秀忠に会う度に緊張したり、顔を赤らめたり意識するようになった。
それは俺に嫌悪感を感じさせた。
女になど不自由していない。
子供になど興味ない。
ただ、俺の所有する物が他の物に取られるのが気に入らないだけだ。
ただそれだけ。
あの柔らかな笑顔を向けてほしい。
柔らな手で俺に触れてほしい。
欲求はどんどん大きく醜い物に変わっていく。
あの笑顔を歪ませたい。
泣かせてみたい。
悲しませてみたい。
一緒に時間を過ごす内にそんな感情まで出てきた。
危険だと思った。
秀忠を手にかけてしまった瞬間、何かが波の様に俺の中に流れ込んだ。
いきおいづきそうな自分を冷静な部分が引き止める。
馬鹿な事だ。
所詮人間。
まだ子供。小娘。
ただの気の迷いに過ぎない。
秀忠の死後。
泣き虫なあいつは涙一つ見せなかった。
気丈に振る舞っているわけでもない。
ただ泣けないようだ。
どれだけの影響を与えたのか…
それが逆に俺を苛つかせた。
殺してしまえばいい。
こんな風に心乱される位なら。
人を食べたいと思った事はない。
だが、あいつなら。
屍を残す位なら俺が全部食べて俺の一部になればいいとさえ思っていた。
行き過ぎた欲求。
自分の物にならないのなら。
『俺が秀忠を殺した』
頬を流れた一筋の涙。
なぜ今泣く…。