第46話 魔界統一トーナメント戦・続
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そう、触れるはずだった-…
瞬間、鈍い肉の避ける音と共に、鴉の腕の力が抜ける
痛みを感じなくとも目の前で吹き飛ぶ自身の腕と真っ赤な血飛沫…
そして-…
そこにあったはずの愛しい女の体さえもない
痛みを感じない体はやりにくい
そう思いながらも視線を向ける先は決まっていた。
青白い月を浴び、銀のそれは流れ輝く…
何度その姿を見たか、幾度も自身の愛する者をこの手から奪う忌まわしき妖。そして、鴉自身も憎むべき相手、だ。
だが、それ以上にこの感情が膨らむ事がないのは秀忠の意志か、それとも娘への想いに比べれば取るに足らないものだという事だろうか。
躯を背に立つ妖怪は、意識のない女を抱え、金色の瞳でこちらを見据える。
それこそ何度も見た、変わることのない鋭い瞳。
以前見た時よりも鋭さを増すそれは、嬲り殺されそうな怒りさえ感じる剣含なものだった。
「そうか、おまえには分かるんだったな…。」
狐に香は効かない。
いや、知ってるからこそ対処している。
鴉は痛くもない腕を押さえ-…
「なるほど…これもお前の計算のうちだというわけ、か。」
と薄く微笑む。
あの挑発に乗っても乗らなくても狐は自分の前に現れた。
棄権をする理由は彼女の心配だけが理由ではない。
自身の身を軽くする為、そして少しでも早く自分を捕まえるためだったのだ、と鴉は理解する。
「……殺してやろうか?」
読み取りにくくも、微かに動く狐の表情。
今すぐに目の前の男の首を刎ねたい気持ちを抑えているのが良く分かる。
「それは俺のセリフだが。よくも好き勝手してくれた。…だが、殺せるのか?俺が。」
まるで殺せないだろう?とでも言いたげな鴉の言葉に狐の瞳は細くなる。
「殺せるなら、殺せばいい。業はお前を呪い、栄子すらも苦しめよう。」
「…よくしゃべる口だ。」
狐の翳す手から植物の蔦が一気に鴉目がけて飛び出す。
それが瞬時に鴉に巻きつき締め上げる。
それに一瞬驚くものの、微笑む鴉の口元は相変わらず変わらない。
締め上げる植物の蔦。
それに鴉はただ微笑む。
「蔵馬…気は確かか?」
狐の背後から躯の掠れた声。
意識を保つのがやっとなのか、膝を突き目の前の妖怪をうつろな瞳で見上げる。
それに締め上げられながらも面白そうに笑う鴉。
「出来るわけがあるまい。」
「おまえも知っていよう。私を生き返らせたのは…」
そうだ。
知っている
「禁術を使用したのは…」
言うな…
「おまえの抱きしめている女だぞ。」
改めて言われ、心が軋む。