第45話 巡る命
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そして…夜。
「…え?」
「二度も言わすな。今夜からしばらくおまえは俺と寝るんだ。」
「…え?え?何言ってるんですか、躯さん…」
「カモン、栄子。」
ベットで横になる躯は頬杖を付きながら扉の前で佇む栄子を呼ぶ。
躯に寝る前に部屋に寄れと言われ何も考えず来れば一体これは何の罰ゲームだろうか。
「前も一度一緒に寝ただろう?ほら、こいよ。栄子ちゃん。」
とにっこり笑えば、細めた瞳が何やら酷く妖しく光っているのは気のせいだろうか。
栄子の顔は徐々に引きつりふるふると首を振る。
「髪を切ったのはよしとした。だがまだ俺の気は済まん。」
「え…これってお仕置き、ですか?」
「酷いな、お前。」
そう言うもくすくすと笑う彼女は全然傷ついていなさそうだ。
「い、いえいえ、てか私は自分の部屋で寝ますから!!!」
彼女は女性なのにたまに錯覚を起こりそうになる。
未だに慣れない…いや、これに慣れることはないだろう。
栄子は身の危険を感じ、彼女に背を向け扉の取手に手を掛けるが…
「今夜は俺の側にいろ。」
栄子の視界に入るのは背後から伸びてきた扉を押す手。
背後に感じる気配。
さすがと言うべきか
ベットから足音も立てず一瞬にして栄子の背後に移動した彼女。
「な、なんでそこまで…」
一体彼女は何を言っているのだろうか。
「…ちょっとした予防、だ。」
「…よ、ぼう?」
「そう、予防だ。おとなしくしろ、これでも一応、俺は女だぜ。仲良く寝てくれよ。」
そう言えば少し哀しげに眉を寄せる。
「……今日、だけですよ?」
この前はたまたまだ。
そう何度も自分の雇い主?の部屋で寝るわけにもいかない。もちろん他に理由もあるが…。
「まぁ、明日は明日だ。」
それでよしとしようと彼女は微笑む。
意味が分からず首を傾げる栄子。
そんな栄子の頭を撫でながら、躯は顔は動かさず視線だけを外に向ける。
そして、小さく笑えば…貸しだぜ?と、口元だけを動かし目を伏せた。
金の瞳がゆっくりと開く。
躯のベランダから飛び降りる蔵馬。
躯の結界は…助かる。
さて…挑発に乗ってくるか、否か。
魔界に来たのが奴の運の尽き。
蔵馬はゆるりと視線を上げれば真っ赤な月が目に入る。
あの時と同じ…
真っ赤な月が見下ろす。