第42話 予選の合間2
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それはまた別の日。
「栄子、栄子。これ見て、これ。」
その日はまだ、さほど忙しくない日だった。
仕事場にやってきた暇な少年。
彼は椅子に腰掛け休憩している自分の側へやってくるなり本を見せてくる。
「修羅君。本戦控えた選手がこんな所来ていいの?」
ここに来たって何もない。
それに今このエリアでは別の予選試合が始まっている。
彼がここに来る必要もなければ普通に来てもいいのだろうか…と首を傾げたくもなる。
躯も来ていたので、そう厳しくないのかもしれないが。
「試合邪魔しなかったら父さんは良いって言ってたけど。」
(黄泉さん…)
がっくりと肩を落とす。
暇だといっても仕事中の身。
そう遊んでもいられないのだが-…。
「一般が忙しくなったらそっち行くから、それまでだよ?」
「うん!!栄子、これ見て!!」
無邪気に笑う修羅。
これが本来の修羅、子供らしく年相応の表情でケラケラと笑う。
時たま見せるあの冷たい凍るような瞳は一体どこから来るものなのか。
彼が見てみてと見せてくるのは、魔界の雑誌。
どうやら欲しいものがあるらしい。
載っているものはメンズの服やらアクセサリーやら様々で、やはりどこの世界でもこういったものはあるんだな…と栄子は納得する。
「これ修羅君に似合いそう。」
「俺アクセサリーとかつけないし。ってどこみてんの、こっちだし!!」
ずいっと自分の方に寄って、これ!!と指差す。
一生懸命なその仕草に笑みが零れるもののそれも一瞬。
彼の指差すのは『脳まで解ける獄甘チョコレート!!一度食べたら体の中から溶けていきます!!!注意:体の弱い方は決して食べないでください。』
「……。」
「これマジで脳までとろける位うまいらしいぜ!!ミスった奴は何人か死んだみたいだけど。」
「…へ、へぇ。」
極甘じゃなくて…獄甘。
「一緒に味見しようぜ?栄子、大好きだもんな!!俺今度買ってくる-…」
「い、いい!!!いらない!!」
(絶対溶けてしまう!!)
「えぇ、なんでぇ。チョコ好きじゃんか。俺と食べるのが嫌なの?」
「いやいや、考えて。私、人間!!」
「…っち。」
舌打ちと共に、俺人間が溶ける所みたかったのに…と呟く。
「……。」
「じゃぁ、これ!!『撃!!!スパイシーチップス!!食べれば撃辛スパイスが喉を直撃!!注意:粘膜の弱い方はご遠慮ください』だって!!どう!!?」
「……。」
激辛じゃなくて…撃辛…
「『撃つような痛み!!さぁ、君は耐えれるか!!』だって!!」
「いらない。」
それにえぇ~~!!と顔を歪めなんならいいのさ!!とついには逆切れ。
そして、ぽつり-…俺、人間のもがき苦しむ姿見たこと無かったのに…と。
(…悪魔っこ健在。)