第41話 予選の合間
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微かな記憶は夢の中で再び蘇る
『生まれ…変わる?』
意味が分からないと言ったように首を傾げる幼い栄子はすぐ側で桜の木を見上げる少年に目を向ける。
『…なんで生まれ変わる必要があるの?今のままじゃだめなの?』
私は生まれ変わりたい
彼はそう言った。
だが、すぐに栄子の興味は落ちてくる桜に移り、花びらを掴もうと両手を上げると着物の袖がひらひらと揺れる。
それに少年は見上げた視線を戻し少女に向ける。
『おまえの側に居たいんだ。ずっと。』
『…?』
一瞬目を伏せた彼、そして歩み寄ってくる彼は栄子の腕を引き抱きしめる。
『ひで、ただ?』
『おまえと共に生きたいんだ。』
悲痛な哀しげな声色。
『何があっても悲しむな…すぐに会えるから。』
耳元で優しく囁く切ない声。
意味の分からない事ばかり言う彼に、不安を胸に抱きつつも、いつもの様に眠気が襲う。
心地の良い甘い眠りに誘われる。
『その時は…私の妻になってくれ。』
つ…ま?
赤い瞳が見下ろす。
『私は必ず-…』
おまえを迎えに行くから-…
真っ赤な月がぼやけて見えていた
微かに感じる肌を霞める冷たい風
それに乗ってくるのは鼻の奥を突くお香の香り
指にしびれる微かな甘い痛み…
それに生暖かい湿った物がなぞり、時に吸う
ごめん、栄子。
こんな私で済まない。
掠れた声が耳に小さく聞こえる。
(…ひで、ただ…?)
どうしても目がこれ以上は開かない
体も動かない…どうして?
頭に霧がかかっていく。
『私と共に、永遠に。』
聞こえた声は酷く哀しげで泣きそうな声だった。
第41話
予選の合間