第40話 第二回魔界統一トーナメント戦開幕
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血飛沫が舞う
襲ってきた妖怪を次から次へと薙ぎ倒していくも、うまく加減ができない
(…苛々するぜ。)
さすがに戦意を失った妖怪にとどめを刺すことはないが、早く目の前から消えて欲しい
それほどまでに、彼-…飛影は苛立っていた。
「予選通過おめでとう、飛影。」
本線まで日数があるため一時、躯の城…言わば自室へ戻ろうとする飛影だったが、廊下で出会った男にいつもの様に笑みを向けられ足を止める。
「たいした事じゃない…。」
赤み掛かった瞳が目の前の男を見て微かに揺れる。
それを知ってか知らずか目の前の男は「それはたのもしい限りです。」と目を細め薄く笑う。
今、飛影が一番会いたくなかった男-…南野秀一、異…妖狐・蔵馬本人だ。
「俺は疲れた、もう寝る。」
あまり話す気にもなれないのか、狐の隣を通りすぎる飛影に、狐は瞳を伏せ…低く何かを呟く。
それに思わず足を止め振り返る飛影。
狐はやっぱりあなたでしたか…と息を付く。
『覗き見はよくないですよ。』
低くそれでいて冷たい狐の声色だった。
「…見たくてみたわけじゃない。」
そうだ。
あんな狐と自分の好いてる女が抱き合っている場面など頼まれても見たくなどない。
少しだけだ…と、開いた邪眼に映った狐に抵抗する彼女の姿。
以前もよく似た光景を見た、同じではないか。
そう思うものの、あの時と明らかに違っていたのは自身の行動だった。
気付けば勝手に足が動いていたのだ。
着いてみれば、やはり蔵馬…
自分の心配など他所に物事は落ち着いたものだった。
離れ切れない彼女の想いを逆手に、狐は貪欲に縋っていた。
「その割には長い間、いましたね。」
くすりと笑う狐、だが目が笑っていない。
「……。」
「飛影…あなたに忠告は必要ですか?」
冷静に、それでいて低い狐の声。
動けなかったのだ。
来た事にどれだけ後悔したか…
自身の思考を切り替えるのに淀んだ感情がどれだけ邪魔だったか…
「必要ない。」
「…本当に?」
「あぁ。だが…」
飛影の赤い瞳がしっかりと翡翠に向けられる。
「あいつが傷つくのは好かん。」
これもいいわけだ。
善人の振りをして心の中ではそれが理由ではない。
狐の顔から微かな笑みも消え、二人の視線が絡まる。
飛影は分かっているのだ。
彼女が傷つくのを分かっていながら側に置こうとする狐の欲深さを-…
「了解。」
それでも瞳を伏せ薄く笑う狐に、飛影の瞳が揺れるはずもなかった。