第40話 第二回魔界統一トーナメント戦開幕
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
******
一日目に派遣されたエリアはひとつの島。
広大な見通しの良い島。
一見、隠れるところがあまりなさそうなその島の中心では妖怪達が、我こそは!!!と溢れ返り戦っている。
そこから幸いにも離れた所にある躯班の治療所。
近くだとしても結界で害はないとは聞いているがこんな破壊音が耳元で鳴り響いていたら治療に専念できるはずもない。
そして、少し離れた所にある栄子達の治療所とは異なる一般の治療所。
一般の治療所は栄子達の治療所と比べるとあまりにも大きい。
町病院と国立病院の比だ。
時間が経つに連れ一般の治療所は妖怪で溢れ返るもののこちらの治療所はそれに反して全くと言って良いほど誰も来ない。
結局、早くもその日の内に勝者が決まり、栄子達の治療所に来たのは結局数人…
飛影の言っていた通りだ。
始めはそう忙しくない、後半にきっとかたまってくる…そう彼は言っていた。
それはトーナメント戦からという事なのだろうか…。
躯班の治療所に来たのは見たことあるような、ないような妖怪。
こんなにも広いエリアで、大多数の中に躯の部下が数人。
こんな調子ではいつ知り合いと会えるのだろうか…
魔界のトーナメント戦…
膨大な土地や島を数千のエリアに分け戦っている。
どれだけ広いのだ、魔界は。
このエリアの勝者は一般の妖怪。
拝見してはいないが、噂では剣を振るう着物を来た男前の妖怪だと聞いた。
(…ん?知ってるような…?)
栄子は頭を捻るがどうも思い出せず、次のエリアに行く準備をする。
結局そのエリアでは大した働きもせず、その日は終わった。
(拍子抜け…。)
そして…
「あ、暑い…なに、この島…。」
シャツが汗で滲む。
酷い熱気と湿度の高いこの島は『獄炎島』。
覆い茂る木々達に、たまに振るスコールの様な雨。
まるで、ここはジャングル。
そうアマゾンの奥地の様な(…行った事ないけどきっとそんな)場所だ。
先程の島の時と同じように用意された治療所。
その入り口付近に張られたテントの下に栄子はいた。
椅子に腰仕掛け、受付の机の前で手で顔を仰ぎながらも患者を待つ。
目の前に並ぶお菓子にはなかなか手がつけられないのはこの灼熱の暑さのせいだ。
早く受付の交代の順番が来ないものかと机の上で突っ伏す。
相変わらず少し離れた所にある一般の治療所では人が溢れかえっている。
怪我人を運んでくるスタッフ達。
そして、自ら赴く選手達。
選手自身が治療所に来ることは棄権を意味する。
彼らは治療所で治療を受けるとその後は飛行バスで元の会場に帰される。
「あっちは忙しそうですね。」
ふと頭上から声を掛けられ見上げると治療班のリーダーのルナが笑いかけ、隣の椅子に腰掛ける。
「ルナさん、こっちはまだ誰も来ませんね。」
「そのようですね、それだけ躯様の戦士達が優秀ってことですね。」
確かに彼女の言うとおりだ。
でもよくよく考えれば数が少ないという事でもあるのだろう。
「でもこのステージでも、応援する人いないのよね…。」
このステージにも栄子の知り合いはいない。
一体いつ会えるのだろうか…。
それにくすりと笑うルナ。
後半戦になればきっと沢山会えますわ…と微笑む。
結局その島の勝者は二日目の朝にして決定。
「…え?」
今なんと?
別のエリアに移動しようと身支度をする栄子の手が、ルナの言葉で止まる。
「このエリアの勝者は驥尾です。…あら、ご存じなかったのですか?驥尾は躯様の専属戦士の一名ですよ?」
「え、えぇぇぇぇええ!!!」
驚き過ぎて暑さも吹き飛ぶ。
リストに名前があった事さえ知らなければ、探すこともなかった人物。
「側にいてお気づきになられないとは、驥尾がメイドとして優秀なのか、栄子様が鈍感なのか。」
楽しそうにふふふと笑う。
そいういえば-…
と栄子は以前の妖精の泉での出来事を思い出す。
戦えない飛影の変わりに見張り役としてやってきた驥尾。
「そうだったんだ、そんなに強かったんだ。」
それならば納得もする。
「それはもう強いですわよ。もともと鬼人の一族ですし。」
「鬼人族?うわ、名前からして強そう。」
(あんなかわいい顔してばったばった倒しちゃうんだ…)
以前驥尾を何度か怒らせたことが脳裏によぎる。
もし自分が躯の客でなければどうなっていたのだろうか。
今では少なからず仲が良いと自分では思っているが…
「人は見かけによらないって本当だ…。」
少し青くなりながらも栄子は身を震わせたのだった。
(次から気をつけよう!!)
そう心に決めて。