第39話 愚かで愛しい奴
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
こんにちは、驥尾でございます。
あの日から栄子様がどうもおかしいのです。
やはり、あの日を境に何か事件があったのだと思われます。
三日後にはトーナメント戦も始まるというのに、あんなに呆けられては色々心配でございます。
とはいえ、実際毎日栄子様を見ているので、だいたいの察しはつくのです。
きっと原因は彼。
蔵馬様でしょう…
幼なじみのご友人の彼、栄子様以外の誰もが彼の正体を少なからず知ってはおりましたが…
なんせ恋愛は自由ではございませんか。
(私が言うのもなんですけれども…)
何度か栄子様と蔵馬様がすれ違うのをお見かけいたしましたが、栄子様のあの動揺っぷり。
以前も避けていらしたのを何度か拝見いたしましたが、今回ばかりはすごいのです。
あからさま過ぎてこちらが恥ずかしくなってしまいます。
ダッシュで彼の隣を走り去る去る…
彼も二度目はない様で走り去る彼女の腕を掴み部屋に引きずりいれたり…
蔵馬様も何か変わられました。
しばらくすると鼻を押さえながら真っ赤な顔で出てくる栄子様…
床に何か落ちたなと見ると血の痕…
どうやら鼻血を拭いたようです。
一体何があったのでしょうか…
走り去るのが無理だと理解すれば、次は正反対の行動にでられました。
しっかりと、彼と出会えば挨拶をするようになられました。しかし、避けます。異様な距離を空け避けます。
見ているこちらが恥ずかしいです、栄子様。
それに蔵馬様はへぇ…と意地悪そうに微笑まれました。
たまに思います、躯様と蔵馬様はどこか似てらっしゃいます。特に栄子様を苛めるときなんかそっくりです。
青くなる栄子様は後ろに後ずさります。
追い詰める蔵馬様…
いつもはあんなにも余裕な蔵馬様が栄子様といらっしゃる時は絶対に彼女に逃げ道を与えません。
クールなお顔をしてらっしゃいますが、きっと本人は必死なのではないでしょうか…
私の予想ではありますが。
そんな様子に気になり気になり耐えきれず栄子様に何があったのかと聞いてみました。(栄子様が自分からお話してくださるのを待っていたのですが…どうも今回はそれがないので仕方なく。)
それに何か発言しようと口を開くものの、何を思い出してか顔を真っ赤にさせたり、真っ青にさせ口を開閉する彼女に重症なのだと感じそれ以上詰める事はできませんでした。
何があったのでしょうか…
とても恥ずかしい事があった…
そして、脅迫でもされたのでしょうか…
内容が気になります。
でも、ひとつはっきりしていることがございます。
(また見てます…。)
ベランダから庭を眺める先にある赤い髪。
蔵馬様が自身の正体を明かす前から栄子様は蔵馬様をじっと見る事は多かったのです。
以前それを私が言った時には、気付いてらっしゃらなかったご様子で、癖かも…と笑ってらっしゃいました。
夢でも蔵馬様の夢を見られたとお聞きした時は鈍感な方なのだと思いました。
たぶん本人は少なからず気付いているとは思うのですが。
見ている私でさえ分かるのですから、蔵馬様はとうに気付いているのではないでしょうか…。
そう思うのですが…
どうもそれは微妙なところです。
長く培ってきた関係、栄子様は家族の様に蔵馬様に自分をさらけ出して参りました。
だからこそ、逆に蔵馬様は栄子様の気持ちに関して敏感なわりに肝心な自分への思いは家族愛や依存だと思っているようでございます。
(まぁ、それも私の勘でございますが。)
栄子様にとって良い薬は一度離れる事だと思うのです。
…あ、それは以前一度あったのでした。
栄子様からお聞きしました…
しかも最近でもございますね。
引いて無理なら押すしかないのですね。
私は栄子様のお味方です。
躯様はどうやら飛影様とくっつけたさそうな気もしますが…飛影様はきっと蔵馬様のお気持ちを汲んでそれには乗らないでしょう。
いや、乗ってもらっては私がショックです。
そういえば、栄子様はどうやら私の気持ちに気付いておいででした。
鈍感なあの方が気付くのに驚きましたが、ならなぜ自分の事は分からないのだと、突っ込みたくもなりましたが…それは追々言うときがくるやもしれません。
まもなくトーナメント戦が開催されます。
それまでには蔵馬様と少しは纏まってもらいたいのですが…
まぁ、様子からしてもうすぐだと思われます。
妖狐・蔵馬の名は伝説で伊達ではありません。
狙った獲物は宝石も財宝も全て手に入れてきたというではありませんか。
唯一計算通りにいかないのが、彼女なのですね、やはり恋はそういうものなのですね。
私も…蔵馬様を見習って、頑張ってみましょうか…!!!