第37話 決められない選択
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赤、黄、青といった様々な光達が輝き散らばる夜の魔界のその場所は人が溢れ返り騒がしい。
ネオン街とも言われるそこは魔界の繁華街だ。
その一つの店から出てきたのは、まだ若い一角の角を持つ少年、修羅。
隣にはまだ若い少女の妖怪が腕を組み嬉しそうに彼の肩に頭を寄せながら歩く。
「ねぇ、次はどこいくの?」
肩に頭を寄せながら上目使いで修羅を見る彼女に、彼は視線さえも落とさずうーん、と悩みながらも店を通り過ぎていく。
「ここってあまり楽しそうな所、ないんだね。」
修羅は興味なさそうに周りを見回し、息を付き止まる。
「そう?あっちにもっと色々あえるんだけど、修羅君ここ初めてでしょ?私がぜーんぶ案内してあげるよ?」
ね?と可愛く首をかしげる少女。
蔵馬に嗅がされた花粉の効果が切れたのはつい先程の事だった。
一度来て見たかった繁華街。
まだ未成年だからと父親の黄泉は連れて行ってはくれない。
戦闘においては以前とは違い大人の扱いをするくせにこういう場はまだ早いと子ども扱いをする。
そこで入った飲み屋の店で知らない少女に声を掛けられ色んな所に連れまわされているわけだが。
(…たいした事ないじゃん。)
躯の城下に当たると聞いていたので彼女の事だからと、少しは期待していたのだが。
「やっぱ女の城主だと、大人の町は刺激が足りないのかな。」
やっぱ男の娯楽は必要だ、と思うが数が少ないどころか見当たらない。
「刺激が欲しいの?」
「え…あぁ、なんか拍子抜け。聞く話だともっとすごい店が一杯あるって聞いていたから。」
少し期待もしてたのに…とため息を付く。
「……あなたにはまだ早いわよ。」
笑みを含んだ隣の少女の声に眉を寄せる。
「あなたまだ青すぎるもの。もう少し成長したら連れて行ってあげるよ?」
そういう少女もまだまだ若いのではないだろうか。しかし、妖怪は見た目では歳は分からないもの、この見るからに愛らしい少女も実を言えば100歳などとうに超えているのかもしれない。
妖艶に瞳を細め笑う少女に、見た目に似合わぬ色気すら感じる。
(すっげー、ばばぁだったりして。)
「…あれ?」
ふと知っている香りが鼻を霞める。
修羅は振り返り、たった今すれ違った男の後姿を見つめる。
「どうしたの?」
様子がおかしい修羅を見上げる少女。
「いや、なんか…。」
「今の人、知り合い?…綺麗な人だったね。」
でも男の人だったよね?と首を傾げる。
「……。」
血なまぐさい人間の臭い。
死臭…そして-…
修羅は少女に持たれてない方の手を見る。
「この香りは…」
知っている香り。
微かに香るのは自分が傷をつけた人間と同じ血の香り。
「あ…雨降ってきた。」
空を見上げる少女。嫌だなぁ…と眉を寄せる。
「……。」
顔に掛かる雨…。
香りが消えていく…
男の後姿を見つめながら修羅は瞳を細め薄く微笑んだ。