第36話 彼の秘密
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青白い月の明かりが草木を照らす。
夜風に吹かれ草達がきらきらと揺れ擦れ合う見晴らしの良い草原-…
まるでそこは銀世界のように幻想的に色づき、大海原の様に大きく揺らめく。
その中心で見知った背中を見つければ、安堵の息を付き、胸を撫で下ろす。
見慣れたオレンジ掛かった髪の彼女に声を掛けようとした刹那、栄子は足を止め目を見開いた…
雲が流れ月の光がさらに大地に注がれ彼女の先にいる人物を映し出す
さらさらと風と共に流れる銀の髪
見る者を魅了する金色の切れ長の瞳…
人形の様に白くも陶器の様な肌-…そして、人にはありえない獣の耳と尾
白装束に身を包んだ、銀髪の妖怪
妖狐・蔵馬
胸が高鳴る-…
懐かしいその姿に目を奪われ息が詰まる
だが、次の瞬間…
夜風にさらわれながら緩やかに変わる銀から赤の髪…
しなやかな体は見慣れた者に変わっていく…
…夢でも見ているの?
青ざめると力なく後ずさる
手足に血の通わない感覚。
今にも座り込んでしまいそうなそれに、一体私は何度夢を見るのだろうか…
綺麗な月夜はどうしてこんなにも幻想的なのか…
あぁ、きっとこれは夢だ。
夢に違いない…
「栄子…」
耳に入る声は良く知る声-…
だけど、これは夢。
今迄で見た中で、一番たちの悪い夢だ…