第3話 現の夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから数日がたったある日。
願いを一つ叶えてくれると銀髪の妖孤はそう言いに来た。
その日の狐はどこか変で、なぜか苛ついている様にも見えた。
なぜ?と聞くと、狐は「恩返しだ」と言った。
「あなたらしくないわね。」
思わず栄子は笑ってしまう。
狐は何が気にいらなかったのか顔を歪め早く言え、と急かす。
望みなど決まっていた。
「…彼を生き返らせて」
ずっと許されないと思っていた罪。
彼が生き返ってくれさえすれば解放される。
狐はおかしそうに笑う。
「残念だが、それはしない。」
できないとしないは違う。
「なぜしてくれないの?」
栄子は笑う狐に問う。
狐はまた笑う。
栄子を見る妖しく艶やかな瞳。
「…なぜなの?」
「俺が殺したからだ」
冷ややかな声色が耳に流れた。
頭が真っ白になる。
なぜ?
狐はおかしそうに笑う。
「なぜかわからぬか?」
狐の手が頬に触れる。
冷たい手。
この手で…
私の拾った狐が彼を殺した。
私が彼を殺した。
一筋の涙が頬をつたう。
狐はその涙の頬に舌を這わす。
「さわらないで…」
狐の胸を押しのけると、狐は顔を歪める。
狐だけが憎いわけではない。
彼は妖怪だ。
自分の愚かさを憎む。
秀忠にただ甘えていた時間。
何も知らない無知な私。
罪の重さが襲う。
誰か私を殺してちょうだい。
心の中を読んだかの様に、狐は嬉しそうに笑う。
ならば俺がおまえ殺してやる。
そう聞こえた気がした。
本家の屋敷から、陰陽師と武士が派遣された。
地面に転がる涙の石達は無情にも溶けていく。
今宵私は死ぬ。
狐が迎えに来た。