第33話 深層心理
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霊界のある一室
コエンマの部屋では彼の唸り声が聞こえる。
「どうするべきか…うぅーむ…」
腕を組み眉を寄せる彼に側にいる青鬼のジョルジュは、またですか?と呆れた様にため息を付く。
「コエンマ様ぁ、そんなに悩むんでしたら先に机の上の書類やっつけてやりましょうよ!!」
そうしないとジョルジュ帰れない…
と呟くがその言葉は彼には届かない。
「あやつがあんな事に興味を持つなんて…想像しとらんかった…まずい、まずいぞ…」
独り言なのか、次第に青ざめていく。
「コエンマ様ぁー…書類がそんなに溜まっている事がそもそもまずいです。早く処理してくださいって-…」
「えぇい!!うるさい!!おまえはまだうさぎの餌係りだろうが!わしは処分を解いた覚えはないぞ!!」
「えぇ~…ジョルジュここがいい。」
うるうるとした瞳でコエンマを見るものの、気持ちが悪い!!と一喝される。
「なら地獄から逃げた魂…いや、鴉を捕まえて来い!!元はといえばお前のせいだぞ!!」
怒りの矛先が青鬼に向けられ、彼は酷い…と俯く。
もうそんなレベルではないのでは、禁術なら手の施しようがなかったのではないか…と、そう言いたいものの、怒り狂う霊界の長に口を紡ぐ。
「こっちは霊界一大事で悩んどるんだ!!書類どころではないわい!!」
バンっと机を叩くと天井に届く程の高さで積まれていた書類たちが一気にコエンマに雪崩れ込む。
それを見てジョルジュは、最近そんな事ばっかりですね…と小さく呟きながら肩を落とした。
そして、書類の山の中で考えるのは先日の来客の事…
このような状況に追い討ちを掛けるのが如く禁書を貸して欲しいとわざわざ魔界から来た彼女。
『霊界は監視が甘すぎるんじゃないか?霊界の施設、もう一度しっかり調べたほうがいいと思うぜ。今後の為に…な。』
『興味?…面白い事を言う。俺が興味があるのは自分の事だけだ…。今回は俺の為だからな。』
不適に笑う躯の笑みが脳裏から離れない。
結局、盗まれた禁書が未だ戻ってきてない事から彼女は何も借りず帰っていったのだが…
躯までも禁書を見たがるのはなぜか。
飛影や幽助、そして蔵馬と接触していると思われる事から鴉の事は知れていてもおかしくはない。
しかし、元より躯は鴉と面識もなければ関係もないはず。
あの躯だ…、霊界の為に彼女が慈善事業を好んでするとは思えない。
そして-…
『最下層に入れんのが残念だ…』
最後に呟いた彼女の言葉。
あの躯があの場所に興味を持つなど…。
最下層は闇と憎しみが渦巻く禁忌の域。
地獄の番人とてその場に足を踏み入れる事は死を意味する。
霊界の監視下とは名ばかり。
それが魔界にばれると些かまずい…。
「…あんな所に何があるんじゃ…。」
想像も付かない。
禁術と関係があるとも思えない。
鴉に関係あるのならあの場所は無意味だ。最下層に鴉の魂は元よりない。
鴉を蘇らせたのは…一体誰なのか。
「コエンマ様~?もうジョルジュ帰りたい~!!」
書類の山の外では、ジョルジュが嘆く。
「…そんなに帰りたいか、ジョルジュよ。」
無視されるかと思いきや、答えるコエンマに思わず帰してくれるのだと笑顔になる、が…
「なら、一仕事してこい。」
と、降ってきた非情な言葉。
期待はずれなのか、思った通りなのか…その答えに青鬼の表情は一気に沈み、嫌だ嫌だと首を振る。
(ジョルジュに様子を見に行かせるとして…あとは…)
書類の中で腕を組み瞳を瞑る。
「なんで…捕まえんのだ…。」
彼らにとってはさほど難しくもない指令。
特に頭の切れる蔵馬が一番それに乗ってくれていた、なのになぜこうも時間がかかるのか…
その後、禁書を盗んだ蔵馬。そこに何か関係があるのだろうか…。
「その気がないんですね。」
「…なんだと?」
ジョルジュの言葉に反応する。
「だってコエンマ様、ジョルジュにばっか嫌なことさせるし…きっと今回も自分がしたくないからだ!ジョルジュそんなんばっかやーだなぁ!!」
…最近の青鬼はいやに反抗的だ
「…おまえ、家畜の糞取りに回してやろうか。」
何か引っ掛かる。
それは一体何を表すのか…
(嫌な予感が、するな。)
側では嫌だと騒ぐ鬼を無視し、コエンマは眉を顰めた。