第31話 リング
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「そうなんです、実は私出会った頃から栄子様の事が…」
「き、驥尾ちゃん!!?」
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「私は男性しか愛せませんのでご心配なく。」
呆れた顔で寝室を掃除する驥尾に栄子は心臓に悪いよ!!と叫ぶ。
「馬鹿な言葉を信じる栄子様がどうかしてますわ。そういえば以前に私の想い人は躯様じゃないのかと、一度意味の分からない事おっしゃいましたけど…栄子様が実はその気がおありでは?」
あの一件から栄子に対してびしびしと言う様になってきた驥尾。
始めは可愛い妹のようだったのだが、今はまるで姉か母親か…先生だ。
「そういえば…驥尾ちゃんって、年いくつ?」
「…年、ですか。」
きょとんとした表情に口元に指を当てる驥尾の姿は本当に年下の様なのだが…
「今年で121でございます。」
「……え?」
「あれ、122だったかな。」
「20歳?」
「いえいえ、121です。多分。」
思わず彼女の側に行き間近で顔を見る。
張りと艶のある肌。ぱっちりとした目元。
ピンク色の唇。
見るからに自分よりは若く見える彼女。
「妖怪って、たまにすごく羨ましい。」
「若さを保てて…ですか?」
くすくすと無垢に笑う彼女だが、今までの言動を思い出し、だからあんなにもしっかりとして説得力があるのかと納得する。
「驥尾ちゃんの歳は私の世界では経験の宝庫と呼ばれるレベルです。」
「私なんか、赤子同然ですわ。それに妖怪は寿命が長い分、人の人生より無駄に生きる期間も長いと思います。そう思えば人の生の方が美も欲もつまって良い物では?」
「欲って…。」
「躯様なんか私が生まれるずっと以前からここの城主ですわ。飛影様は…私より年下かしら。異様にお強い方ですけど。」
(躯さんは…一体いくつ?)
「先日いらした修羅様は生まれたてのはずですわ。栄子様より年下です。」
「う、生まれたて…」
(十代半ばを生まれたて…)
「感覚がおかしい…。」
それにくすくすと笑う驥尾。
「そうですわね、そう思えば女性同士の恋愛も進んでいてもおかしくないかと。」
「へ?」
「それだけ長生きな分、女性も男性だけではなく女性に恋する方も多いかもしれません。もちろん女性同士の恋愛を否定する気もございません。恋愛は自由なのですから。」
「……。」
「私は男性が好きなノーマルですが。もしとても愛した方が生まれ変わって自分と同じ性別になったとしても、愛してしまうかもしれません。そう思えば同性同士でもありかと。」
「私は赤子です。驥尾ちゃん…。」
(…ついていけません。)
「そうだわ、私はノーマルですが、躯様は意外と女性がいけるかもしれません。」
「…え??_」
「あの方は本当の愛を知ってらっしゃいます。性別にこだわる様な方ではないかと…。」
(い、いやいやいや…何いってるの、驥尾ちゃん。)
ふるふると首を振る栄子を見て、面白そうに笑う驥尾。
「ふふふ、栄子様ならいけるかもしれませんよ?」
「!!?」
「躯さまがあんなに誰かを気に入るの、初めて拝見しましたもの。」
そう楽しそうに笑う驥尾に冗談じゃない!!と顔を青ざめる栄子だった。